
毎月給料はもらっているけど、自分の給料がどこから出ているかは、正直よく分かりません……。

実は、あなたが患者さんに提供する「20分のリハビリ」だけでなく、毎月作成するリハビリテーション計画にも、国が決めた値段がついています。
まずは、給料につながるお金の流れを見てみましょう。
まずは、給料につながるお金の流れを見てみましょう。

- 理学療法士として臨床経験15年以上
- 元リハ部長、現経営管理部長
- 多くの採用・昇進の評価をする側を経験
- 整形クリニック複数の経営に関与
- 自身も昇進・キャリアアップで年収アップを実現
- 論文を年間200本以上チェックし、正確な情報を発信
>>詳しい運営者情報はこちら
- リハ職の給料は、どこから来るのか
- あなたの給料につながる「お金の流れ」
- リハビリの「1単位」とは?
- 2026年度の疾患別リハビリテーション料
- あなたの20分には、いくらの値段がついている?
- リハビリテーション計画にも点数がついている
- 担当患者が生み出す売上を計算する
- リハビリ単位による売上
- 総合計画評価料による売上
- 単位と計画書を合わせた年間売上
- 患者数によって計画書の売上は変わる
- 1人のセラピストが生み出せる売上には天井がある
- 売上1,069万円でも、給料1,069万円にはならない
- 給料の天井を外すのは「単位以外の貢献」
- 2026年度改定で計画書の評価はどう変わった?
- お金の仕組みを知ると、キャリアの判断が変わる
- まとめ
- 主な出典
リハ職の給料は、どこから来るのか
突然ですが、質問です。
自分の給料が「何のお金から」支払われているか、説明できますか?
「病院やクリニックから」
もちろん正解です。
では、その病院やクリニックは、どこからお金を得ているのでしょうか。
あなたが患者さんに提供する20分のリハビリは、いくらの売上になるのでしょうか。
毎月作成しているリハビリテーション計画書には、いくらの点数がついているのでしょうか。
そして、なぜ多くの患者さんを担当しても、給料は急には上がらないのでしょうか。
ここまで説明できるリハ職は、意外と多くありません。
私は経営管理部長として、毎月、医療機関の売上や人件費と向き合っています。
その立場から断言できるのは、お金の仕組みを理解すると、キャリアの判断が変わるということです。
昇給交渉、転職先選び、管理職への挑戦。
すべてが、診療報酬と施設の収益構造の上に成り立っています。
この記事では、リハ職の給料の源流である、
- 診療報酬
- リハビリの単位
- リハビリテーション総合計画評価料
- セラピストの担当患者が生み出す売上
- 医療機関のコスト
- 2026年度の診療報酬改定
について、できるだけやさしく解説します。
あなたの給料につながる「お金の流れ」
医療機関のお金の流れを、一本の川として見てみましょう。
大切なポイントは、次の2つです。
リハビリの価格は施設が自由に決められない
医療保険で行うリハビリの価格は、国が定める診療報酬によって決まります。
一般的なお店のように、
「質の高いサービスを提供しているので、来月から値上げします」
とはできません。
同じ施設基準、同じリハビリテーション料であれば、基本的に同じ点数を請求します。
売上がそのまま給料になるわけではない
医療機関の売上から支払われるのは、リハ職の給料だけではありません。
例えば、
- 社会保険料の事業主負担
- リハビリ室の家賃や光熱費
- 医療機器の購入費や修理費
- 電子カルテなどのシステム費
- 医師、看護師、受付、医療事務などの人件費
- 採用費や研修費
- 借入金の返済
- 将来の設備投資
などがあります。
つまり、
あなたが関わった売上=あなたの給料
ではありません。
リハビリの「1単位」とは?
医療保険の疾患別リハビリテーションは、原則として20分を1単位として計算します。
診療報酬は、原則として1点10円です。
例えば、185点のリハビリを1単位実施すると、
185点×10円=1,850円相当
となります。
ただし、実際の医療機関の収入は、加算、減算、査定、返戻、入院料への包括などによって変わります。
この記事では、仕組みを分かりやすくするため、基本点数を使って計算します。
2026年度の疾患別リハビリテーション料
2026年度の主な疾患別リハビリテーション料は、次のとおりです。
脳血管疾患等リハビリテーション料
- (Ⅰ):245点
- (Ⅱ):200点
- (Ⅲ):100点
運動器リハビリテーション料
- (Ⅰ):185点
- (Ⅱ):170点
- (Ⅲ):85点
呼吸器リハビリテーション料
- (Ⅰ):175点
- (Ⅱ):85点
- (Ⅲ)の区分はありません
これらの点数は、2026年度の厚生労働省「医科診療報酬点数表」と整合しています。
あなたの20分には、いくらの値段がついている?
運動器リハビリテーション料(Ⅰ)を例に考えてみましょう。
運動器リハ(Ⅰ)は、1単位185点です。
したがって、患者さんに20分のリハビリを提供すると、基本点数だけの計算では、
185点×10円=1,850円相当
となります。
ここで注目したいのが、施設基準による違いです。
同じ20分でも、
- 運動器リハ(Ⅰ):1,850円相当
- 運動器リハ(Ⅱ):1,700円相当
- 運動器リハ(Ⅲ):850円相当
と差があります。
セラピストの経験や技術が同じでも、働く施設の届出区分によって、算定できる金額は変わります。
どの施設で働くかが給料に影響する理由の一つが、ここにあります。
リハビリテーション計画にも点数がついている
リハビリ部門の売上は、20分ごとの単位だけではありません。
患者さんの状態や目標、具体的な訓練内容などを多職種で検討し、計画書を作成・評価した場合には、リハビリテーション総合計画評価料を算定できます。
2026年度の点数は、次のとおりです。

リハビリテーション総合計画評価料1
- 初回:300点
- 2回目以降:240点
金額に換算すると、
- 初回:3,000円相当
- 2回目以降:2,400円相当
です。
要件を満たせば、患者1人につき1か月に1回算定できます。
運動器リハビリテーション料(Ⅰ)または(Ⅱ)を届け出ている施設でも、介護リハビリテーションの利用を予定していない患者など、所定の条件に該当する場合は、評価料1の対象になります。
リハビリテーション総合計画評価料2
介護リハビリテーションの利用を予定している一定の患者については、評価料2を算定します。
- 初回:240点
- 2回目以降:196点
すべての患者に評価料1の300点・240点を算定できるわけではない点には注意が必要です。
計画書を書くだけでは算定できない
リハビリテーション総合計画評価料は、担当セラピストが計画書を入力するだけで算定できるものではありません。
厚生労働省の留意事項では、定期的な医師の診察や機能検査の結果を基に、医師、看護師、PT、OT、ST、社会福祉士などが共同して計画書を作成し、リハビリの効果や実施方法を評価することが求められています。
さらに、計画書の内容を患者さんに説明して交付し、写しを診療録に添付する必要があります。
つまり、これは計画書という紙の値段ではなく、多職種で計画・評価・説明する一連の業務に対する評価です。
担当患者が生み出す売上を計算する
それでは、リハビリの単位と総合計画評価料を合わせて、年間売上を計算してみましょう。
今回は、外来の運動器リハビリを想定して、次の条件を設定します。
月90人という数字は、次のように計算しています。
1日18単位×月20日
=月360単位
月360単位÷患者1人当たり月4回来院
=月90人
リハビリ単位による売上
1日の売上
1,850円×18単位
=3万3,300円
1か月の売上
3万3,300円×20日
=66万6,000円
1年間の売上
66万6,000円×12か月
=799万2,000円
リハビリの単位だけで考えると、年間約800万円です。
総合計画評価料による売上
月90人のうち、
- 新規患者15人:初回300点
- 継続患者75人:2回目以降240点
として計算します。
新規患者分
3,000円×15人
=4万5,000円
継続患者分
2,400円×75人
=18万円
1か月の総合計画評価料
4万5,000円+18万円
=22万5,000円
1年間の総合計画評価料
22万5,000円×12か月
=270万円
単位と計画書を合わせた年間売上
リハビリ単位による年間売上は、799万2,000円です。
総合計画評価料による年間売上は、270万円です。
合計すると、
今回のモデルでは、担当患者に関連する施設売上は、年間約1,069万円となります。
計算結果は次のとおりです。
- 1か月:89万1,000円
- 1年間:1,069万2,000円

ただし、この金額を「セラピスト1人が単独で生み出した売上」と表現するのは正確ではありません。
リハビリ単位の売上は、主にセラピストが20分のリハビリを提供したことによって発生します。
一方、総合計画評価料は、医師、看護師、セラピストなどが共同して計画・評価したことに対する施設の売上です。
そのため、正確には、
セラピスト1人の直接的な単位売上:約799万円
その担当患者群に関連する総合計画評価料:約270万円
と分けて考える必要があります。
患者数によって計画書の売上は変わる
リハビリの単位数が同じでも、患者1人当たりの通院回数や実施単位数によって、担当患者数は変わります。
例えば、月360単位でも、
- 患者1人が月4回、毎回1単位:90人
- 患者1人が月4回、毎回2単位:45人
- 患者1人が月8回、毎回1単位:45人
となります。
総合計画評価料は、単位数ではなく患者1人につき月1回の評価です。
そのため、同じ月360単位でも、担当する患者数が多いほど、算定要件を満たした場合の総合計画評価料は大きくなります。
計算式は、次のとおりです。
月間の担当患者数
月間単位数 ÷ 1回当たりの実施単位数 ÷ 患者1人当たりの月間来院回数
例:360単位 ÷ 1単位 ÷ 月4回 = 90人
総合計画評価料の月間売上
新規患者数 × 3,000円 + 継続患者数 × 2,400円
例:15人 × 3,000円 + 75人 × 2,400円 = 22万5,000円
総合計画評価料の年間売上
総合計画評価料の月間売上 × 12か月
例:22万5,000円 × 12か月 = 270万円
1人のセラピストが生み出せる売上には天井がある
疾患別リハビリテーション料では、従事者1人当たりの実施単位数について、
- 1日18単位が標準
- 1日24単位が上限
- 1週間108単位が上限
とされています。
24単位は、リハビリの実施時間だけで8時間です。
しかし、実際の仕事には、
- カルテ記載
- 計画書の作成
- 医師や看護師との情報共有
- カンファレンス
- 患者さんの移動
- 家族への説明
- 新人教育
- 委員会活動
などがあります。
そのため、毎日24単位を安定して続けるのは現実的ではありません。
さらに、総合計画評価料を算定するためにも、評価、計画書作成、多職種での検討、患者への説明といった時間が必要です。
診療報酬上の売上を増やすためには、単に患者さんを多く担当すればよいわけではありません。
算定要件を守りながら、必要なリハビリと計画・評価を適切に提供することが大前提です。
売上1,069万円でも、給料1,069万円にはならない

「担当患者に関連する売上が年間1,000万円を超えるなら、年収400万円は安すぎるのでは?」
そう感じる人もいると思います。
しかし、医療機関が負担しているのは、額面上の給料だけではありません。
説明用のモデルとして、年収400万円の職員にかかる年間の人件費総額を、社会保険料の事業主負担などを含めて約470万円と仮定します。
担当患者に関連する年間売上:約1,069万円
- セラピストの人件費総額:約470万円
= 残り:約599万円
ただし、この約599万円が、そのまま施設の利益になるわけではありません。
ここから、
- 医師や看護師など多職種の人件費
- 受付や医療事務の人件費
- リハビリ室の家賃や光熱費
- 医療機器の購入・保守費
- 電子カルテなどのシステム費
- 採用費や研修費
- 施設基準を維持するための費用
- 借入金の返済
- 将来の設備投資
などを支払います。
特に総合計画評価料は、多職種の共同作業によって算定されるため、その全額を担当セラピストの利益として考えることはできません。
給料の天井を外すのは「単位以外の貢献」
単位や計画書だけで生み出せる売上には、一定の上限があります。
そこで重要になるのが、単位以外の貢献です。
例えば、
- キャンセル率を下げる
- 新患を増やす仕組みをつくる
- 計画書の作成漏れを防ぐ
- 算定要件を整理して返戻や査定を減らす
- 業務を標準化して残業を減らす
- スタッフを育成する
- 離職率を下げる
- 自費サービスを企画する
- 部門の収支を管理する
といった仕事です。
特に、計画書の作成・説明・算定を適切に管理することは、医療の質だけでなく施設の収益にも影響します。
単位の外側で売上を増やしたり、経費や算定漏れを減らしたりできる人は、セラピスト1人分の単位売上を超えて評価される可能性があります。
2026年度改定で計画書の評価はどう変わった?

2026年度改定では、リハビリテーション総合計画評価料に、2回目以降の点数が新設されました。
評価料1
- 初回:300点
- 2回目以降:240点
評価料2
- 初回:240点
- 2回目以降:196点
2026年5月31日以前に同じ医療機関で総合計画評価料を算定していた患者については、2026年6月以降は「2回目以降」の点数を算定します。
一方、別の医療機関に転院・転医し、新しい医療機関で初めて同一疾患の総合計画評価料を算定する場合は、「初回」として扱います。
また、新たな疾患の発症、再発、急性増悪などによりリハビリの起算日が再設定され、改めて総合実施計画書を作成・評価した場合も、「初回」を算定できます。
お金の仕組みを知ると、キャリアの判断が変わる
診療報酬や施設の収益構造を理解すると、キャリアの考え方も変わります。
昇給交渉の言葉が変わる
「一生懸命頑張っています」
だけではなく、
- どのくらいの単位を安定して算定しているか
- 計画書を適切な時期に作成できているか
- 算定漏れや返戻をどれだけ減らしたか
- キャンセル率をどれだけ改善したか
- 新患や継続患者をどれだけ増やしたか
- 後輩育成によって部門全体の生産性をどう高めたか
を数字で説明できるようになります。
転職先を見る目が変わる
求人票の給料だけでなく、
- どの疾患別リハビリテーション料を届け出ているか
- 1日何単位が現実的なのか
- 患者1人当たりの実施単位数は何単位か
- 計画書の作成時間が確保されているか
- 計画書や加算の算定漏れがないか
- リハビリ以外の業務をどう評価しているか
という視点を持てます。
管理職への道が見えてくる
経営側が求めているのは、多くの患者さんを担当できる人だけではありません。
部門の売上、人件費、稼働率、計画書、加算、採用、離職、設備投資を理解し、経営の言葉で説明できる人材は希少です。
臨床と数字の両方を理解できることは、管理職を目指すうえで大きな強みになります。
まとめ
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 医療保険のリハビリは、原則として20分が1単位
- 診療報酬は、原則として1点10円
- 運動器リハ(Ⅰ)は、1単位185点=1,850円相当
- リハビリテーション総合計画評価料1は、初回300点、2回目以降240点
- 総合計画評価料は、要件を満たせば患者1人につき月1回算定できる
- 月360単位、月90人を担当するモデルでは、単位売上は年間約799万円
- 総合計画評価料を含めると、担当患者に関連する年間売上は約1,069万円
- 総合計画評価料は多職種の共同業務による売上であり、セラピスト単独の売上ではない
- 売上から人件費、医師や事務職の人件費、設備費、家賃などが支払われる
- 単位以外で施設の収支を改善できる人は、給料の天井を超えて評価されやすい
自分の給料の源流を知ることは、単にお金に詳しくなることではありません。
今の職場で何を評価してもらうのか。
どの施設へ転職するのか。
臨床を続けるのか、管理職を目指すのか。
その判断を、感情だけではなく数字で考えられるようになることです。
今日から、自分の給料を「支払われる側」だけでなく、仕組みを知っている側から眺めてみてください。
見える景色が変わるはずです。
給料が上がりにくい構造の全体像は、[https://rehabilitation-manager-blog.com/rehab-salary-not-increase/]で解説しています。
単位の天井を超えて評価される働き方については、[https://rehabilitation-manager-blog.com/pt-career-management/]をご覧ください。
主な出典
- 厚生労働省「令和8年度 医科診療報酬点数表」
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」
- 確認日:2026年7月25日
※実際の算定に当たっては、点数表だけでなく、留意事項通知、施設基準、疑義解釈および個別患者の状態をご確認ください。
この記事と一生に読まれています👇


コメント