面接の最後、志望動機を聞かれて、こう答えていませんか。

「貴院で、〇〇のリハビリを学びたいと思っています」
熱意のこもった、まじめな答えです。間違ったことは何も言っていません。
でも——採用する側としてこの言葉を数えきれないほど聞いてきた立場から、正直にお伝えします。この言い方は、ほんの少し損をしています。
私は理学療法士として、リハビリテーション部長を務め、経営管理部長として数百件の応募書類に目を通し、面接をしてきました。今は整形外科の経営側にいて、「誰を採用するか」を決める立場です。
その視点から見ると、面接で受かる人と、惜しいところで見送られる人の差は、スキルや経歴ではなく、たった一つの考え方の違いで説明できることがほとんどです。
この記事では、採用側が内心ためらう志望動機と、同じ内容でも評価が一変する伝え方を、具体例つきでお話しします。

- 理学療法士として臨床経験15年以上
- 元リハ部長、現経営管理部長
- 多くの採用・昇進の評価をする側を経験
- 整形クリニック複数の経営に関与
- 自身も昇進・キャリアアップで年収アップを実現
- 論文を年間200本以上チェックし、正確な情報を発信
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「職場は学校ではない」——採用側がいちばん最初に考えていること
まず、採用する側の頭の中を正直に開きます。
面接であなたを見ているとき、採用側がいちばん知りたいのは、こういうことです。
「この人を採用すると、うちの施設にどんな良いことがあるんだろう?」
冷たく聞こえたら、すみません。でも、これは事実です。そして、その理由には、求職者側からは見えにくい「お金の話」があります。
採用は、施設にとって大きな投資です
年収400万円のスタッフを1人採用するとき、施設の負担は400万円ではありません。
社会保険料の事業主負担(健康保険・厚生年金など)が上乗せされて、人件費はおおよそ470万円前後になります。
さらに、ここからが見落とされがちな部分です。経験の浅いスタッフを採用すれば、先輩が時間を割いて教えることになります。教えている間、先輩は自分のリハビリ(=施設の売上になる単位)の数を減らしています。残業して教えれば割増の人件費もかかります。
こうした育成のコストまで含めて、数年単位で見れば、1人の採用にかかる施設の負担は1,000万円規模になることもあります(※育成にかかる期間の見方によって変わる概算です)。
だから、採用する側にとって、人を雇うことは「経費」ではなく「投資」なんです。
投資だから、「教えてもらいに来ました」では不安になる
ここで、冒頭の「学びたいです」に戻ります。
学ぶ意欲は、本当に大切です。誤解しないでください——業務に必要なことは、どの施設でも当然教えます。 それは施設の責任です。
問題は、志望動機の「軸」が「教えてもらうこと」になっているときです。
採用側は1,000万円規模の投資を判断しています。その場面で「学ばせてください」「成長させてください」が前面に出ると、採用側の頭にはこんな疑問がよぎります。
「この人を採用して、うちは何を得られるんだろう?」 「投資した分は、返ってくるんだろうか?」
その答えが面接から見えないと、どれだけ人柄が良くても、最後のひと押しで決めきれない。これが、惜しい見送りが起きる正体です。
採用側が「多少給料が高くても欲しい」と思う人
では逆に、どんな人なら採用側から見て魅力的なのか。
ハッキリ言います。能動的に「貢献」を語れる人です。
面接でこう言える人は、強い。
- 「私を採用していただくと、こういう形で貢献できます」
- 「貴院の〇〇の分野で、この経験を活かしたいです」
- 「ここで、こういうことに取り組みたいと考えています」

「私を採用していただくと、こういう形で貢献できます」
「貴院の〇〇の分野で、この経験を活かしたいです」
「ここで、こういうことに取り組みたいと考えています」
こういう候補者には、採用側はこう思います。「この人は、投資して回収できる人だ」と。
正直に言えば、こういう人材は、多少給料を高く設定してでも来てほしいというのが本音です。これは綺麗事ではありません。投資として、リターンが見える相手にはお金を出す——経営側のごく自然な判断です。
つまり、面接で貢献を語れた人は、知らないうちに年収交渉のテーブルにも立っているということです。
「学びたい」を捨てる必要はない。”貢献”に接続するだけ
ここまで読んで、「じゃあ学ぶ意欲は言っちゃダメなの?」と思った方へ。
違います。「学びたい」は捨てなくていいんです。 貢献に接続すればいいだけです。
学ぶ対象を言ったら、そのまま「それを使って、施設に何を返すか」まで言い切る。これだけで、同じ志望動機が「投資して回収できる候補者」の言葉に変わります。
具体例を見てください。
例1:回復期のリハビリを志望する場合
- ❌「回復期のリハビリを学びたいです」
- ⭕「前職の急性期で培った離床(※寝た状態から起き上がり、座る・立つ動作を進めること)のリスク管理を活かしながら、回復期の在宅復帰支援を吸収して、貴院の退院支援の質に貢献したいです」
例2:訪問リハビリに挑戦したい場合
- ❌「訪問リハビリに興味があり、学びたいです」
- ⭕「これまで培った評価のスキルを、生活の場である自宅という環境で発揮したいです。ご利用者の生活動作の改善で、貴ステーションの在宅支援に貢献したいと考えています」
例3:経験が浅く、アピールできる実績が少ない場合
- ❌「まだ未熟ですが、一生懸命学ばせていただきます」
- ⭕「経験はこれからですが、学んだことを必ず現場に還元します。1日でも早く戦力になれるよう、入職前から〇〇の勉強を始めています」
3つ目のポイントは、経験の浅さそのものは不利ではないということです。採用側は「即戦力か」だけでなく「将来性に投資できるか」も見ています。大切なのは、「教えてもらう姿勢」ではなく「学んだことを返す姿勢」を見せることです。
「学びたい」以外にも。採用側が見ている4つのポイント
志望動機の伝え方だけでなく、採用側が面接全体で見ているのは、次の4つです。これを知っておくと、準備の方向が定まります。
① すぐに辞めないか(定着するか)
早期離職は、施設にとって投資の全損です。だから採用側は「この人は続けてくれるか」を真剣に見ています。志望動機が具体的で、施設をよく調べている人は、それだけで「ちゃんと考えて選んでくれている=続きそう」というシグナルになります。
② 即戦力か。そうでなくても、将来性があるか
今すぐ貢献できなくても大丈夫です。前述の通り、伸びしろと学ぶ姿勢に投資する判断は普通にあります。経験が浅いことを引け目に感じる必要はありません。
③ 既存スタッフ・他職種とうまくやれるか
病院やクリニックは、医師・看護師・他のセラピストとのチームで動く現場です。どれだけ技術が高くても、周囲と噛み合わない人は、チーム全体の力を下げてしまいます。患者さんとのコミュニケーションも同じです。面接での受け答えの柔らかさ、聞く姿勢は、ここを見られています。
④ 施設の理念に合っているか
理念とのミスマッチは、本人にとっても施設にとっても、後からじわじわ高くつきます。だから採用側は「この人は、うちのやり方に合うだろうか」を見ています。応募先の理念やリハビリの方針を事前に調べ、自分の考えと重なる部分を語れると強いです。
まとめ:面接で問われているのは「何ができるか」だけではない
最後に、この記事でいちばん伝えたかったことを。
面接であなたが問われているのは、「何ができるか」だけではありません。
「この採用という投資は、回収できるか」
これを採用側は見ています。だから、スキルや経歴を並べるだけでも、「学ばせてください!」と熱意を見せるだけでも、ひと押し足りない。
その間をつなぐのが、「貢献」という視点です。
学びたい対象があるなら、それを使って施設に何を返すかまで語る。経験が浅いなら、学んだことを必ず還元すると伝える。たったこれだけで、あなたの志望動機は採用側の心に届きます。
採用する側にいた人間として、最後に一つ。良い採用は、施設と本人の両方が「この出会いは正解だった」と思える採用です。 あなたが自分の価値を正しく伝えられれば、その確率はぐっと上がります。
応援しています😊

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