面接で、志望動機を聞かれたとき。
こんなふうに答えていませんか?

「貴院で、〇〇のリハビリを学びたいと思っています」
とてもまじめな答えです。
熱意もあります。
間違ったことは、何も言っていません。
でも——。
採用する側として、この言葉を何度も聞いてきた立場から正直に言うと、この言い方は少し損をしています。
私は理学療法士として、リハビリテーション部長を務めてきました。
その後、経営管理部長として、数百件の応募書類に目を通し、面接にも関わってきました。
現在は整形外科クリニックの経営側として、
「誰を採用するか」を考える立場にいます。
その視点から見ると、面接で受かる人と、惜しいところで見送られる人の差は、スキルや経歴だけではありません。
多くの場合、差が出るのはたった一つ。
「学びたい」だけで終わるか。
「どう貢献できるか」まで伝えられるか。
この違いです。

この記事では、採用側が内心ためらう志望動機と、同じ内容でも評価が変わる伝え方を、具体例つきで解説します。

- 理学療法士として臨床経験15年以上
- 元リハ部長、現経営管理部長
- 多くの採用・昇進の評価をする側を経験
- 整形クリニック複数の経営に関与
- 自身も昇進・キャリアアップで年収アップを実現
- 論文を年間200本以上チェックし、正確な情報を発信
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- 「職場は学校ではない」採用側が最初に考えていること
- 採用は、施設にとって大きな投資です
- 「教えてもらいに来ました」だけでは不安になる
- 採用側が「多少給料が高くても欲しい」と思う人
- 「学びたい」を捨てる必要はない
- 例1:回復期リハビリを志望する場合
- 例2:訪問リハビリに挑戦したい場合
- 例3:経験が浅く、実績に自信がない場合
- 「学びたい」以外にも、採用側が見ている4つのポイント
- ① すぐに辞めないか
- ② 即戦力か。そうでなくても将来性があるか
- ③ 既存スタッフや他職種とうまくやれるか
- ④ 施設の理念や方針に合っているか
- 面接で大切なのは「自分が何を得るか」だけではない
- 志望動機は「学びたい」から「貢献したい」へ
- まとめ:面接で問われているのは「何ができるか」だけではない
「職場は学校ではない」採用側が最初に考えていること
まず、採用する側の頭の中を正直にお伝えします。
面接で応募者を見ているとき、採用側が知りたいのはこれです。
「この人を採用すると、うちの施設にどんな良いことがあるのか?」
少し冷たく聞こえるかもしれません。
でも、これは現実です。
そして、その背景には、求職者側からは見えにくいお金の話があります。
採用は、施設にとって大きな投資です
たとえば、年収400万円のスタッフを1人採用するとします。
このとき、施設の負担は400万円だけではありません。
健康保険や厚生年金などの社会保険料の事業主負担が加わります。
そのため、人件費としては、おおよそ470万円前後になることがあります。
さらに、見落とされがちなのが教育コストです。
経験の浅いスタッフを採用すれば、先輩スタッフが時間を使って教えます。
その間、先輩は本来できたはずのリハビリ単位を減らすことになります。
つまり、施設にとっては、
- 給与
- 社会保険料
- 教育にかかる時間
- 先輩スタッフの負担
- 売上機会の減少
- 残業が発生した場合の人件費
こうしたものが、すべてコストになります。
数年単位で見れば、1人の採用にかかる負担が1,000万円規模になることもあります。
もちろん、これは育成期間や施設の状況によって変わる概算です。
ただ、採用する側にとって、人を雇うことは単なる「経費」ではありません。
採用は、施設にとって大きな投資なのです。

「教えてもらいに来ました」だけでは不安になる
ここで、最初の言葉に戻ります。
「貴院で、〇〇のリハビリを学びたいです」
もちろん、学ぶ意欲は大切です。
これは誤解しないでください。
業務に必要なことは、どの施設でも教えます。
それは施設側の責任でもあります。
問題は、志望動機の中心が、
「教えてもらうこと」だけになっている場合です。
採用側は、大きな投資を判断しています。
その場面で、
「学ばせてください」
「成長させてください」
だけが前面に出ると、採用側の頭にはこんな疑問が浮かびます。
「この人を採用して、うちには何が返ってくるのだろう?」
「投資した分は、回収できるのだろうか?」
この答えが面接の中で見えないと、どれだけ人柄が良くても、最後のひと押しで決めきれません。
これが、
“惜しい見送り”が起きる理由です。
採用側が「多少給料が高くても欲しい」と思う人
では、採用側から見て魅力的な人はどんな人でしょうか。
それは、能動的に貢献を語れる人です。
たとえば、面接でこう言える人です。では逆に、どんな人なら採用側から見て魅力的なのか。

「私を採用していただくと、こういう形で貢献できます」
「貴院の〇〇の分野で、この経験を活かしたいです」
「ここで、こういうことに取り組みたいと考えています」
こういう候補者に対して、採用側はこう感じます。
「この人は、投資して回収できる人かもしれない」
正直に言えば、こういう人材は、多少給料を高く設定してでも来てほしいと思います。
これは綺麗事ではありません。
投資としてリターンが見える相手には、お金を出す。
経営側としては、ごく自然な判断です。
つまり、面接で貢献を語れる人は、知らないうちに年収交渉の土台にも立っているということです。
「学びたい」を捨てる必要はない
ここまで読むと、
「じゃあ、学びたいって言ったらダメなの?」
と思うかもしれません。
でも、そうではありません。
“学びたい”は捨てなくて大丈夫です。
大切なのは、その後です。
学びたいことを伝えたら、そこで終わらせない。
その学びを使って、
施設に何を返せるのかまで伝える。
これだけで、同じ志望動機でも印象が大きく変わります。
例1:回復期リハビリを志望する場合
❌ 少し惜しい伝え方
「回復期のリハビリを学びたいです」
これでも悪くはありません。
ただ、採用側から見ると、
「学びたい」が中心になっています。
✅ 評価されやすい伝え方
「前職の急性期で培った離床時のリスク管理を活かしながら、回復期の在宅復帰支援についても学び、貴院の退院支援の質に貢献したいと考えています」
この言い方だと、
- 前職で何を経験してきたか
- これから何を学びたいか
- 学んだことをどう施設に返すか
が伝わります。
採用側から見ると、かなり印象が変わります。

例2:訪問リハビリに挑戦したい場合
❌ 少し惜しい伝え方
「訪問リハビリに興味があり、学びたいです」
これも熱意は伝わります。
ただ、やはり「自分が学びたい」が中心です。
✅ 評価されやすい伝え方
「これまで培ってきた評価のスキルを、生活の場であるご自宅という環境で発揮したいです。ご利用者さまの生活動作の改善を通して、貴ステーションの在宅支援に貢献したいと考えています」
このように伝えると、採用側はイメージしやすくなります。
「この人は、訪問の現場でどう動いてくれそうか」
ここが見えるだけで、評価は変わります。
例3:経験が浅く、実績に自信がない場合
❌ 少し惜しい伝え方
「まだ未熟ですが、一生懸命学ばせていただきます」
まじめさは伝わります。
ただ、採用側から見ると、
「教えてもらう前提」が強く見えてしまうことがあります。
✅ 評価されやすい伝え方
「経験はこれからですが、学んだことを必ず現場に還元します。1日でも早く戦力になれるよう、入職前から〇〇について勉強を始めています」
経験が浅いこと自体は、必ずしも不利ではありません。
採用側は、即戦力だけを見ているわけではありません。
将来性に投資できるかも見ています。
大切なのは、
「教えてもらう姿勢」だけで終わらせないことです。
学んだことを返す姿勢を見せることが重要です。
「学びたい」以外にも、採用側が見ている4つのポイント
志望動機の伝え方だけでなく、採用側は面接全体を見ています。
特に見ているのは、次の4つです。

① すぐに辞めないか
採用側がかなり気にしているのが、定着するかどうかです。
早期離職は、施設にとって大きな損失です。
採用にかけた時間も、教育にかけた時間も、人件費も無駄になってしまいます。
だからこそ、採用側はこう見ています。
「この人は、長く働いてくれそうか?」
志望動機が具体的な人は、それだけで印象が良くなります。
なぜなら、施設のことを調べたうえで応募していることが伝わるからです。
「なんとなく応募した人」
「ちゃんと考えて選んでくれた人」
この差は、面接では意外と伝わります。
② 即戦力か。そうでなくても将来性があるか
もちろん、即戦力は評価されます。
ただし、今すぐ完璧にできなくても大丈夫です。
採用側は、
- これまで何を経験してきたか
- どこまで自分で考えられるか
- 入職後に伸びそうか
- 学んだことを現場に返せそうか
こうした部分も見ています。
経験が浅いからといって、必要以上に引け目を感じる必要はありません。
大切なのは、
「成長したい」だけでなく、「成長して貢献したい」と伝えることです。
③ 既存スタッフや他職種とうまくやれるか
病院やクリニックは、チームで動く職場です。
医師、看護師、リハビリスタッフ、受付、事務、介護職など、さまざまな職種と関わります。
どれだけ技術が高くても、周囲とうまく連携できない人は、チーム全体に影響します。
採用側は、面接の中で次のような部分も見ています。
- 受け答えが一方的ではないか
- 相手の話を聞けるか
- 表情や言葉づかいが柔らかいか
- 自分の意見を押しつけすぎないか
- 患者さんと円滑に関われそうか
面接での受け答えは、そのまま現場でのコミュニケーションを想像されます。
④ 施設の理念や方針に合っているか
採用側は、スキルだけでなく相性も見ています。
どれだけ優秀でも、施設の方針と合わなければ、入職後にお互い苦しくなります。
だからこそ、応募前には次のような部分を確認しておくことが大切です。
- 施設の理念
- リハビリの方針
- 対象となる患者層
- 力を入れている分野
- ホームページに書かれている特徴
- 求人票で強調されている内容
そして、自分の考えと重なる部分を面接で伝えます。
たとえば、
「貴院が在宅復帰支援に力を入れている点に魅力を感じました」
「患者さんの生活に寄り添うリハビリ方針に共感しました」
「これまでの経験を、貴院の〇〇の分野で活かしたいと考えています」
このように伝えられると、採用側は安心します。
「この人は、うちのことを理解して応募してくれている」
そう感じてもらえるからです。
面接で大切なのは「自分が何を得るか」だけではない
転職活動では、どうしても自分目線になりやすいです。
もちろん、それは当然です。
- 給料を上げたい
- 休みを増やしたい
- 人間関係の良い職場に行きたい
- 新しい分野を学びたい
- キャリアアップしたい
どれも大切なことです。
ただ、面接ではそれだけでは足りません。
採用側は、同時にこう考えています。
「この人を採用すると、施設にどんなメリットがあるのか?」
だからこそ、志望動機では、
自分が得たいものと、
施設に返せるものをつなげる必要があります。
志望動機は「学びたい」から「貢献したい」へ
志望動機を考えるときは、次の流れで整理すると伝えやすくなります。

① これまでの経験
まず、自分がこれまで何をしてきたのかを伝えます。
例:
「急性期で離床やリスク管理を経験してきました」
「外来で運動器疾患の患者さんを多く担当してきました」
「高齢者の生活動作改善に関わってきました」
② これから学びたいこと
次に、応募先で学びたいことを伝えます。
例:
「回復期での在宅復帰支援を深めたいです」
「訪問リハビリで生活場面での支援を学びたいです」
「整形外科疾患への評価と運動療法をさらに磨きたいです」
③ 施設にどう貢献するか
最後に、それを施設にどう返すかを伝えます。
例:
「学んだことを現場に還元し、患者さんの生活改善に貢献したいです」
「これまでの経験を活かして、貴院のリハビリの質向上に貢献したいです」
「1日でも早く戦力となり、チームの一員として貢献したいです」
この3つをつなげるだけで、志望動機はかなり強くなります。
まとめ:面接で問われているのは「何ができるか」だけではない
最後に、この記事でいちばん伝えたいことをまとめます。
面接で問われているのは、
「あなたに何ができるか」だけではありません。
採用側は、こう見ています。
「この採用という投資は、回収できるか?」
だから、スキルや経歴を並べるだけでは足りません。
「学ばせてください」と熱意を伝えるだけでも、あと一歩足りません。
その間をつなぐのが、
貢献という視点です。
学びたいことがあるなら、
それを使って施設に何を返すのかまで伝える。
経験が浅いなら、
学んだことを現場に還元すると伝える。
たったこれだけで、志望動機の印象は大きく変わります。
採用する側にいた人間として、最後に一つだけお伝えします。
良い採用は、施設と本人の両方が、
「この出会いは正解だった」と思える採用です。
あなたが自分の価値を正しく伝えられれば、その可能性はぐっと高くなります。

応援しています😊
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