訪問リハビリの年収はなぜ高い?経営側が語る「給料の裏側」と向き不向き

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転職に悩むリハスタッフ
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訪問リハって給料高いけど…なんで?

経営管理部長
経営管理部長

その疑問、経営側から見ると理由はかなり明確です!

訪問リハは給料がいいらしい

理学療法士や作業療法士の年収について話していると、よく出てくる話です。

結論からいうと、訪問リハは病院やクリニックより高い給与を提示する求人が見つかりやすい働き方です。

ただし、

「訪問リハ=誰でも高年収」ではありません。

給与が高くなる背景には、訪問件数と売上が結びつきやすい収益構造や、インセンティブ制度、人材を確保するための給与設定があります。

私は経営側で毎月の売上や人件費を確認してきました。

実際に給与条件を考えるときも、単純に「月給をいくらにするか」だけを見るわけではありません。

その職員がどれくらいの売上を生み、事業所にどれくらいのコストがかかるのか。

ここを見ながら給与として還元できる金額を考えます。

この視点を持つと、訪問リハの給料が高くなりやすい理由も見えてきます。

この記事では、

  • 訪問リハの年収が高くなりやすい理由
  • インセンティブ制度の仕組み
  • 高年収の裏にある働き方
  • 訪問リハに向いている人
  • 求人票で確認したいポイント

を経営側の視点から解説します。

訪問リハは稼げるらしい」というイメージだけで転職するのではなく、なぜその給料を払えるのかまで理解してから求人を選びましょう。

※本記事では、求人市場で一般的に「訪問リハ」と呼ばれる働き方を広く扱います。医療機関・介護老人保健施設などの訪問リハビリテーションと、訪問看護ステーションからPT・OT・STが訪問するケースでは、制度や報酬体系が異なります。

  • 理学療法士として臨床経験15年以上
  • 元リハ部長、現経営管理部長
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訪問リハの給料が高い理由は「収益構造」にある

リハ職の給料は、会社や医療機関の善意だけで決まるわけではありません。

基本となるのは、

1人のセラピストが生み出す売上 − その人にかかるコスト

です。

以前の記事でも解説しましたが、病院やクリニックのリハビリには、1日に算定できる単位数などのルールがあります。

つまり、セラピストが頑張っても、売上を無制限に増やせるわけではありません。

一方、訪問リハは収益の作り方が少し違います。


理由① 訪問件数が売上につながりやすい

訪問リハでは、利用者さんの自宅を訪問してサービスを提供します。

そのため、

何件訪問したか

が事業所の売上と結びつきやすい特徴があります。

たとえば、

1日5件訪問する人と、1日7件訪問する人。

同じ勤務時間でも、売上には差が出ます。

この仕組みがあるため、訪問件数に応じて給与を増やすインセンティブ制度を導入しやすくなります。

病院では給与に反映しにくかった「生産性」が、訪問では給与に反映されやすいのです。


理由② 大規模なリハ設備を持たなくても運営しやすい

病院やクリニックでリハビリを提供するには、一定のスペースや設備が必要です。

訪問リハでは、サービスを提供する場所は利用者さんの自宅です。

そのため、大規模なリハビリ室や多くの訓練機器を持たずに運営できるケースがあります。

もちろん、

  • 社用車
  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • スマートフォンやタブレット
  • 記録システム
  • 事務スタッフ

などの費用はかかります。

それでも、施設型サービスとはコスト構造が違うため、人件費へ配分しやすい事業モデルを作れる事業所があります。

これも給与水準を高めやすい理由の一つです。


理由③ 人材を採用するために給与を高くしている

訪問リハは、誰にでも選ばれやすい働き方ではありません。

一人で利用者さんの自宅に行くのが不安

「何かあったときに判断できるか心配

運転や移動が大変そう

こうした理由から、病院勤務を希望するセラピストも多くいます。

一方で、訪問サービスを提供するにはPT・OT・STなどの人材が必要です。

採用競争が起これば、事業所側も条件を良くしなければ人材を確保できません。

そのため、

「訪問で働いてもらうための給与」

が上乗せされている求人もあります。

給与の高さは、仕事内容に対するプレミアムでもあるわけです。


訪問リハのインセンティブ制度とは?

訪問リハの求人を見ると、

「インセンティブあり」

という言葉をよく見かけます。

たとえば、

月80件までは固定給
81件目以降は1件につき○○円支給

といった給与設計です。

ほかにも、

月○件以上から歩合給

とする事業所や、一定以上の売上に対して還元する事業所もあります。

制度は事業所によって異なります。


インセンティブのメリット

訪問件数を増やせる人なら、給与を上げやすくなります。

効率良く訪問ルートを組み、一定の件数を安定して担当できれば、病院勤務より高い年収になるケースもあります。

「働いた量が給与に反映されやすい」

これがインセンティブ制度の魅力です。


インセンティブの注意点

一方で、訪問件数は自分だけではコントロールできません。

利用者さんの、

  • 入院
  • 体調不良
  • 施設入所
  • キャンセル
  • サービス終了

などによって訪問件数が減る場合があります。

当然、インセンティブ部分も減ります。

ここで求人を見るときに注意したいのが、

「月収40万円可能」

「年収500万円以上可能」

といった表現です。

重要なのは、その金額ではありません。

確認したいのは、

「その給与をもらうには月何件訪問する必要があるのか?」

です。


経営側から見るインセンティブのもう一つの意味

インセンティブ制度は、職員にとっては「頑張った分だけ給料が増える仕組み」です。

経営側には別のメリットがあります。

訪問件数が増えれば給与を増やす。

訪問件数が減ればインセンティブも減る。

つまり、

売上が少ないときの人件費リスクを抑えられます。

経営としては合理的です。

だから転職する側が見るべきなのは、

最大でいくら稼げるか

ではありません。

「件数が少なくても、いくら給料が保証されるのか」

です。

求人を見るときは、基本給を必ず確認してください。


訪問リハの高年収、その裏にある4つの現実

給与だけを見ると魅力的な訪問リハですが、働き方には特徴があります。

転職前に知っておきたいポイントを4つ紹介します。


① 移動も仕事になる

訪問リハでは、利用者さんの自宅から次の利用者さんの自宅へ移動します。

車、自転車、バイクなど、移動手段は事業所によって違います。

夏の暑い日もあります。

雨の日もあります。

地域によっては冬の運転も必要です。

病院勤務では、

次の患者さんまで歩いて数十秒

だったものが、訪問では、

次の利用者さんまで車で20分

になる場合があります。

この差は想像以上に大きいです。

求人を見るときは、訪問件数だけでなく担当エリアの広さも確認しましょう。


② キャンセルで収入が変わることがある

固定給なら、キャンセルが直接給与に影響しない場合もあります。

インセンティブ制では話が変わります。

訪問件数が減れば、給与も減る可能性があります。

先月は月収35万円だったのに、今月は32万円

ということも起こり得ます。

住宅ローンや教育費など固定支出が大きい人は、月給の最低保証額を確認しておいた方が安心です。


③ 一人で判断する場面が増える

訪問先には病院のように医師や看護師、先輩セラピストがすぐ近くにいるとは限りません。

利用者さんの血圧が高い。

転倒している。

いつもと様子が違う。

こうした場面で、

今日はリハビリを続けるのか

誰に連絡するのか

受診を勧めるのか

を判断しなければならないケースがあります。

もちろん事業所には連絡体制があります。

それでも、最初に状況を見るのは自分です。

一人で判断する力を求められやすい。

これは訪問リハの特徴です。

転職前には、緊急時の連絡体制や教育制度も確認しましょう。


④ 記録や書類作成も多い

訪問リハは、訪問だけして終わりではありません。

記録や計画書、報告書などの作成があります。

多職種との情報共有も必要です。

問題なのは、

「その書類をいつ書くのか」

です。

訪問と訪問の間に入力するのか。

事業所に戻ってから書くのか。

勤務時間内に記録時間が確保されているのか。

ここで働きやすさが変わります。

求人票に「残業ほぼなし」と書かれていても、記録時間まで確認しなければ実態は分かりません。


訪問リハに向いている人

訪問リハと相性が良いのは、次のような人です。

自分で予定を組んで動くのが好き

訪問では自分で時間を管理する場面が増えます。

細かく指示されるより、自分で考えて動きたい人には合いやすい働き方です。

生活の場でリハビリをしたい

病院では機能改善が中心になりやすいですが、自宅では生活そのものが対象になります。

玄関の段差をどうするか

トイレまで安全に行けるか

家族の介助量をどう減らすか

こうした生活課題に関わりたい人とは相性が良いです。

収入と仕事量が連動する働き方が好き

訪問件数を増やして給与を上げたい人にとって、インセンティブ制度は魅力になります。

固定給より、

「成果を給与に反映してほしい」

という人には向いています。

一人で判断するための臨床経験がある

病院勤務で一定の臨床経験を積み、自分で評価やリスク管理ができる人は訪問でも力を発揮しやすくなります。


訪問リハへの転職を慎重に考えたい人

反対に、次のような人は求人選びを慎重にした方がいいでしょう。

まだ臨床判断に強い不安がある

経験年数だけで判断する必要はありません。

ただ、訪問では一人で対応する時間が増えます。

新人教育や同行訪問が充実した事業所を選ぶことが重要です。

毎月の給与が変わると不安になる

インセンティブ比率が高い求人では、月収が変動することがあります。

安定した固定給を重視する人なら、基本給が高い事業所の方が合う可能性があります。

「給料が高い」だけで転職しようとしている

これは注意が必要です。

高い給与には理由があります。

訪問件数が多い。

担当エリアが広い。

インセンティブ比率が高い。

オンコールがある。

こうした条件が隠れている場合もあります。

年収だけでなく、「なぜこの会社はこの給与を払えるのか」を確認してください。


訪問リハの求人票で確認したい5項目

求人を比較するときは、年収だけを見るのではなく、次の5項目を確認してください。

① 基本給とインセンティブ

月給35万円」だけでは判断できません。

基本給はいくらなのか。

固定残業代は含まれているのか。

インセンティブは何件目から付くのか。

1件いくらなのか。

ここまで確認します。


② 1日の平均訪問件数

1日5〜7件」と「1日8〜9件」では働き方が大きく違います。

平均だけでなく、

職員が実際に何件回っているか

を聞けると参考になります。


③ 訪問エリアと移動手段

同じ6件でも、

狭いエリアを自転車で回る6件と、車で広範囲を回る6件では負担が違います。

社用車の有無や駐車場代の負担も確認しましょう。


④ オンコールや緊急対応

オンコールがある場合は、

頻度、手当、実際の呼び出し件数を確認します。

オンコールあり」という言葉だけでは負担は分かりません。


⑤ 記録時間と残業

面接では、

「皆さんは記録をいつ入力していますか?」

と聞いてみてください。

この質問は働き方を確認するうえで役立ちます。

訪問終了後に毎日30分〜1時間記録している職場なら、「残業ほぼなし」と書かれていても注意が必要です。


「年収500万円」の求人なら、ここまで聞く

訪問リハの求人で高い年収が提示されていたら、面接では具体的に確認します。

たとえば年収500万円なら、

「年収500万円になる場合、月の訪問件数は平均何件でしょうか?」

と聞きます。

さらに、

「入職後、職員の何割くらいがその年収に到達していますか?」

まで聞けると、モデル年収の現実性が見えてきます。

最高年収より、

普通に働いた人が実際にいくらもらっているか。

こちらの方が転職判断には重要です。


訪問リハは「給料が高い」だけで選ばない

訪問リハの給与が高くなりやすい背景には、きちんとした理由があります。

訪問件数が売上につながりやすい。

インセンティブ制度を設計しやすい。

人材を採用するために給与条件を上げる必要がある。

一方で、高年収の裏には移動や収入変動、一人での判断、書類業務があります。

だから訪問リハへの転職では、

「いくら稼げるか」だけでなく「その年収を得るために、どんな働き方が必要なのか」

を確認してください。

求人票に書かれた最高年収だけを見て判断するのは危険です。

基本給はいくらか。

月何件訪問するのか。

担当エリアはどこまでか。

残業や記録時間はどうなっているか。

ここまで確認すると、その求人の本当の条件が見えてきます。

訪問リハは、働き方と事業所選びが合えば、収入アップを狙える選択肢です。

ただし、

「訪問リハだから稼げる」のではありません。

収益構造と給与制度を理解し、自分に合う事業所を選べた人が稼ぎやすい。

この違いを知っておくだけでも、求人を見る目は変わります。

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論文と「採用する側」の視点で、カラダとキャリアの味方に
この記事を書いた人
ミカタ

ミカタ(理学療法士)
元リハビリテーション部長。採用する側として多数の面接を経験し、現在は整形外科クリニックの経営管理部長。年間200本以上の医学論文を読む健康オタク。エビデンスに基づくカラダの話と、採用側の視点で語るリハ職のキャリアの話を発信しています。

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