理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の年収は、なぜ頭打ちになりやすいのか。給料を決める経営側の視点から、リハ職の給料が決まる仕組みと、現実的に年収を上げる方法を、きれいごと抜きで解説します。

なぜ、がんばって働いているのに、給料がなかなか上がらないんだーーー!!!
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士として働いていると、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。
毎日、患者さんと向き合っている。
単位も取っている。
勉強もしている。
資格も取った。
後輩指導もしている。
それなのに、給料は思ったほど上がらない。
このモヤモヤを感じているリハ職は、本当に多いと思います。
私自身、リハビリテーション部長としてスタッフを管理し、今は経営側として給与や昇給を見る立場にいます。
その立場から正直に言うと、
「給料を上げてあげたい」と思っても、簡単には上げられない仕組みがあります。
一方で、
「この働き方なら年収は上がりやすい」
という道もあります。
今回は、その両方をできるだけわかりやすくお話しします。
※本記事で触れる金額や割合は、制度の仕組みを説明するための一般的な目安です。施設の種類、地域、個人の状況によって異なります。

- 理学療法士として臨床経験15年以上
- 元リハ部長、現経営管理部長
- 多くの採用・昇進の評価をする側を経験
- 整形クリニック複数の経営に関与
- 自身も昇進・キャリアアップで年収アップを実現
- 論文を年間200本以上チェックし、正確な情報を発信
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大前提:リハ職の給料はどこから生まれるのか
年収の話をする前に、まず知っておいてほしいことがあります。
それは、
あなたの給料はどこから出ているのか
という話です。
ここを理解すると、リハ職の給料が上がりにくい理由がかなり見えてきます。
リハビリの売上は「単位」で決まっている
病院やクリニックのリハビリは、健康保険の診療報酬という公的なルールで価格が決まっています。
リハビリは、
1単位=20分
という時間の区切りで計算されます。
そして、1単位あたりの金額は、国が決めています。
つまり、施設が自由に、
「うちのリハビリは質が高いので、1単位を高くします」
とはできません。
さらに、1人のセラピストが1日に提供できる単位数にも限界があります。
体力的にも、制度的にも、無限に単位を取ることはできません。
つまり、リハ職には、
1人のセラピストが生み出せる売上に天井がある
ということです。
ここが、リハ職の年収を考えるうえで、とても重要なポイントです。

年収400万円でも、施設の負担は400万円ではない
もう一つ、経営側の視点をお伝えします。
たとえば、年収400万円のセラピストがいるとします。
このとき、施設がその人にかけているコストは、400万円だけではありません。
健康保険や厚生年金など、社会保険料の事業主負担が加わります。
そのため、施設側の人件費としては、おおよそ470万円前後になることがあります。
さらに、実際にはそれ以外にも費用がかかります。
たとえば、
- 教育や研修にかかるコスト
- リハビリ機器や物品
- 家賃
- 電気代
- 事務スタッフの人件費
- 電子カルテなどのシステム費用
こうした間接的な費用も必要です。
経営側は、
1人のセラピストが生み出す売上
と、
1人にかかる総コスト
のバランスを見ています。
そのうえで、給料や昇給を考えています。

なぜリハ職の年収は上がりにくいのか
ここからは、リハ職の年収が上がりにくい理由を3つに分けて解説します。

理由①:売上に「天井」があるから
リハ職の年収が上がりにくい最大の理由は、
1人が生み出せる売上に上限があるから
です。
一般的な営業職であれば、優秀な人は他の人の何倍も売上を立てることがあります。
しかし、リハ職は違います。
どれだけ技術が高くても、どれだけ患者さんから信頼されていても、1日に提供できる単位数は大きく変わりません。
つまり、
個人の頑張りが、そのまま売上の大きな差になりにくい
のです。
これが、昇給の幅が小さくなりやすい大きな理由です。
経営側が意地悪をしているわけではありません。
売上の構造として、給料を上げにくい仕組みになっているのです。
理由②:診療報酬は国が決めているから
リハビリの単価は、施設が自由に決めているわけではありません。
国の制度で決まっています。
そして、その単価は数年に一度の診療報酬改定で見直されます。
ただし、大きく上がることは多くありません。
むしろ、医療費抑制の流れの中で、リハビリ分野は厳しい改定になることもあります。
施設の売上単価そのものが上がりにくい。
だから、そこから支払われる給料も上げにくい。
これは、個々の施設の努力だけではどうにもならない、業界全体の構造です。
理由③:資格や経験が「売上」に直結しにくいから
ここが、多くのリハ職がモヤモヤする部分です。
認定資格を取った。
勉強会に参加した。
経験年数を重ねた。
後輩指導もしている。
それでも、給料が大きく上がらない。
なぜか。
理由は、資格や経験が、そのまま単位数や売上に直結しにくいからです。
10年目のベテランでも、1年目のスタッフでも、同じ疾患別リハビリの単位であれば、診療報酬上の点数は基本的に同じです。
もちろん、経験を積めばリハビリの質は上がります。
患者さんへの説明も上手くなります。
リスク管理もできるようになります。
後輩指導やチームへの貢献も増えます。
でも、その貢献が売上の数字として見えにくいのです。
だから、頑張りと給料が噛み合わないと感じやすくなります。
では、どうすれば年収は上がるのか
ここまで、少し厳しい話をしてきました。
でも、年収を上げる道がないわけではありません。
給料を決める側の視点から見ても、
この方向なら年収は上がりやすい
という現実的な道があります。
ここでは、4つ紹介します。

道①:役職に就く
最も王道なのは、役職に就くことです。
たとえば、
- 主任
- 係長
- 科長
- リハビリテーション部長
- 管理者
こうした役職に就くと、役職手当がつきます。
また、給料の天井そのものが上がることもあります。
経営側の本音を言うと、
臨床能力が高い人
と、
組織をまとめられる人
は別です。
患者さんを診る力がある人は多くても、スタッフを育てたり、チームをまとめたり、他職種と調整したりできる人は多くありません。
だからこそ、マネジメントができるリハ職は、施設にとって貴重です。
患者さんだけでなく、
- スタッフの育成
- シフト管理
- 業務改善
- 他職種との連携
- 売上や稼働率の管理
- クレーム対応
- 採用や教育
こうした部分に関心を持てる人は、評価されやすくなります。
道②:働く施設の種類を変える
同じリハ職でも、働く場所によって給料の相場は変わります。
たとえば、一般的には、
- 訪問リハビリ
- 自費リハビリ
- 一部の介護分野
- 管理者候補の求人
- 立ち上げ期の事業所
こうした領域では、給料が高めに設定されることがあります。
理由はシンプルです。
施設側の収益構造が違うからです。
ただし、注意も必要です。
給料が高い職場には、高いなりの理由があります。
たとえば、
- 移動の負担がある
- 件数のノルマがある
- 1人で判断する場面が多い
- 書類業務が多い
- 緊急対応がある
- 営業的な役割を求められる
こうした可能性があります。
だから、給料だけで判断するのは危険です。
大切なのは、
高い給料の裏側まで確認すること
です。
道③:転職して、今の市場価値で交渉し直す
同じ施設に長くいると、給料は上がりにくいことがあります。
新卒からの昇給テーブルに沿って、少しずつしか上がらないことが多いからです。
一方で、転職するときは違います。
今のあなたの経験やスキルを前提に、条件を提示してもらえます。
経験を積んだセラピストが、転職で年収を上げるケースは珍しくありません。
経営側として正直に言うと、外から来る経験者には、既存スタッフより良い条件を出すこともあります。
理由は、
育成コストがかかりにくい即戦力
だからです。
長く同じ職場にいる人ほど、自分の市場価格を確認する機会を逃しがちです。
これは、とてももったいないことです。
道④:働き方を組み合わせる
正社員一本にこだわらず、働き方を組み合わせる方法もあります。
たとえば、
- 非常勤勤務
- スポット勤務
- 副業
- 複数の職場での勤務
- 本業+休日の単発勤務
こうした形です。
もちろん、本業の就業規則を確認する必要があります。
副業が禁止されている職場もあります。
ただ、働き方の選択肢が広がっている今、収入の作り方も一つではありません。
いきなり転職するのが不安な人は、まず非常勤や単発で別の現場を経験するのも一つの方法です。
そこで自分の価値を確認してから、条件の良い正社員先を選ぶという考え方もあります。
年収を上げたいなら、まず市場価値を知ること
ここまで、年収を上げる4つの道を紹介しました。
共通する出発点があります。
それは、
今の自分が、転職市場でいくら評価されるのかを知ること
です。
これを知らないまま今の職場にいると、もったいないことが起こります。
本当はもっと高く評価される人材なのに、それに気づかず、低い給料で働き続けてしまう可能性があるからです。
経営側と現場側の両方を見てきて思うのは、
情報を持っている人が、結局いちばん損をしにくい
ということです。
市場価値を知ることは、すぐに転職することではありません。
転職エージェントに登録して、今の自分にどんな求人があるのかを見るだけでも十分です。
どのくらいの年収でオファーが来るのか。
どんな施設が自分を求めているのか。
今の職場の給料は相場より高いのか、低いのか。
それを知るだけでも、キャリアの見え方は変わります。
場合によっては、今の職場での待遇交渉の材料にもなります。
まとめ:給料の仕組みを知れば、打ち手が見える
リハ職の年収が上がりにくいのは、あなたの努力が足りないからではありません。
業界の構造として、上がりにくい理由があります。
主な理由は、次の3つです。
- 1人が生み出せる売上に天井がある
- リハビリの単価は国が決めている
- 資格や経験が売上に直結しにくい
だから、普通に頑張っているだけでは、年収が大きく上がりにくいのです。
でも、構造を知れば、打ち手は見えてきます。
年収を上げる現実的な道は、次の4つです。
- 役職に就く
- 働く施設の種類を変える
- 転職して市場価値で交渉し直す
- 非常勤や副業など働き方を組み合わせる
どの道を選ぶにしても、最初の一歩は、
自分の市場価値を知ること
です。
給料を決める側にいた人間として言えるのは、
正しい情報を持っている人が、いちばん損をしない
ということです。

この記事が、あなたのキャリアと収入を見直すきっかけになれば嬉しいです😊
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