なぜ理学療法士の私が「経営管理部長」になれたのか|すべてを変えた、たった一つの気づき

career
記事内に広告が含まれています。

理学療法士のキャリアは、主任・科長・リハビリ部長で終わりではありません。

💡 「患者さんが来ることは当たり前ではない」

この気づきが、私を臨床現場から経営管理部長という立場へ導きました。

理学療法士の出世コースに、「経営管理部長」という椅子はありませんでした。

主任、科長、リハビリ部長。
キャリアの地図はそこで終わっていて、その先は医師や事務方の世界。

私もずっと、そう思っていました。

新卒で整形外科病院に入職し、毎日、臨床に明け暮れる日々。
単位いっぱいまで患者さんを診て、入院も外来も担当する。

業務にはなんとなく慣れ、なんとなく患者さんを良くしている気になっていました。

でも、2年目の頃には疲れもあり、正直こう思っていました。

そんな私が今は、経営管理部長として、病院の数字を見て、採用や給与の見直しに関わり、監査や保健所、業者とのやり取りまで行っています。

では、何が変わったのか。

振り返ると、きっかけは昇進でも、特別な資格でもありません。

すべてを変えたのは、『たった一つの気づき』でした。

この記事では、私が理学療法士から経営管理部長になるまでに経験したこと、実際にやってきた行動、そしてキャリアを変えた考え方をまとめます。

臨床の先のキャリアを考えているPT・OT・STの方に、一つの実例として届けば嬉しいです😊

  • 理学療法士として臨床経験15年以上
  • 元リハ部長、現経営管理部長
  • 多くの採用・昇進の評価をする側を経験
  • 整形クリニック複数の経営に関与
  • 自身も昇進・キャリアアップで年収アップを実現
  • 論文を年間200本以上チェックし、正確な情報を発信
    >>詳しい運営者情報はこちら

3年目の転機。「リハ主任として新規開業に行かないか?」

転機は、理学療法士3年目のときでした。

病院が新規事業として、別の地区に新しく施設を出すことになり、私に声がかかりました。

私は、ほとんど迷わず答えました。

正直に言うと、深い戦略があったわけではありません。

ただ、毎日の臨床に少し行き詰まりを感じていた時期でした。

「こんなもんかな」と思い始めていた日常の外に出られる気がした。
それが、当時の一番大きな理由だったと思います。

実際、開業準備はとても忙しかったです。
でも、いつもとは違う業務が新鮮で、久しぶりに仕事が楽しいと感じました。

今振り返ると、私のキャリアの分岐点は、この「即答」でした。

準備ができてから手を挙げようと思うと、準備はいつまでも終わりません。

🔑 チャンスは、準備の完了を待ってくれない。

これは、今でも後輩に必ず伝えていることです。


😨 開業初日、待合室に誰もいなかった

そして、実際に新規開業してみて、私の考え方は180度変わりました。

病院にいたときは、患者さんがいることが当たり前でした。

朝出勤すれば予約は埋まっている。
目の前には治療する相手がいる。
単位をどう埋めるかを考えればよかった。

でも、新規開業の施設には、その当たり前がありませんでした。

誰も来ない。
待ってくれている患者さんがいない。

このとき、雷に打たれたように気づきました⚡

💡 患者さんがいることは、当たり前じゃない。
💡 治療させてもらえることは、当たり前じゃない。

病院の看板。立地。地域からの信頼。これまでのスタッフの積み重ね。

自分が臨床に集中できていたのは、それらが患者さんを連れてきてくれていたからでした。

ゼロの待合室は、その事実を一瞬で教えてくれました。

私のキャリアの話は、突き詰めればこの気づきの話です。

ここから先にやったことはすべて、「では、患者さんに選ばれるためにどうするか」を実行してきただけです。


🏥 やったこと①:「選ばれる場所」を作る

まず取り組んだのは、来てくださった患者さんに選ばれ続けるための土台作りです。

リハビリの技術だけを高めればよい、とは考えませんでした。

なぜなら、患者さんはリハビリだけを見ているわけではないからです。

患者さんは、施設全体を見ています。

たとえば、

受付の対応看護師の声かけ院内の清潔感待ち時間説明のわかりやすさスタッフ同士の雰囲気

こうしたすべてを含めて、「この施設にまた来たいか」を感じ取っています。

そこで、以下のようなことを見直しました。

✅ ① リハビリの質と教育システムの見直し

提供するサービスそのものが、施設の商品です。

担当者によってリハビリの質に大きな差が出れば、患者さんの満足度も安定しません。

そのため、スタッフ間で考え方や対応にばらつきが出ないよう、教育の仕組みを整えました。

誰が担当しても、一定以上の安心感を提供できること。

これは、選ばれる施設づくりに欠かせない要素だと思います。

✅ ② 接遇の徹底

リハビリだけでなく、受付、看護も含めて接遇を意識しました。

どれだけ治療技術が高くても、説明が冷たかったり、対応が雑だったりすれば、患者さんは不安になります。

医療機関であっても、患者さんに選ばれるためには、接遇は欠かせません

「医療だから来てくれる」ではなく、「ここなら安心できる」と感じてもらうことが大切です。

✅ ③ 院内を清潔に保つ

地味ですが、とても大切です。

掃除。整理整頓。掲示物の見やすさ。トイレや待合室の清潔感。

これらは患者さんの安心感につながります。

選ばれる施設には、必ず清潔感があります✨

逆に、どれだけ良い医療を提供していても、院内が雑然としていると、それだけで不安を与えてしまいます。

✅ ④ 法律を学んだ上で発信する

施設の強みを伝えることも重要です。

ただし、医療機関の発信には注意が必要です⚠️

医療法や薬機法などを学び、違反しない範囲で、施設の強みを伝えるようにしました。

発信は大切です。
でも、医療では信頼を損なわない発信がもっと大切です。

どれも特別なことではありません。

でも、「患者さんは来て当たり前」と思っている施設では、意外と本気で取り組まれていないことでもあります。

当たり前を疑った瞬間に、すべてが「やるべきこと」に変わりました。


📊 やったこと②:数字を雑に扱わない

次に取り組んだのが、現状をデータで語れるようにすることでした。

感覚だけでは、経営は動きません。

「最近、患者さんが増えた気がする」
「なんとなく離脱が多い気がする」

これでは、問題点も対策も曖昧になります。

そこで、以下のような数字を見るようにしました。

・単位数リハビリの離脱率 
・継続率
・新患数
・患者満足度アンケート
・来院経路(なぜ当院を選んだのか/どこから来院しているのか)

数字で見ると、課題がはっきりします

そして、数字をまとめるだけではなく、

📝 問題点 → 対策 → 次にやること

ここまで整理して、随時、理事長に報告しました。

誰かに指示されたわけではありません。

でも、この行動が結果的に、私のキャリアを大きく動かしたと思っています。

数字は、現場と経営をつなぐ共通言語です。

臨床の頑張りを経営側に伝えるためにも、数字で語る力はとても重要だと感じています。


🤝 やったこと③:医師を巻き込む

リハビリは、医師の処方がなければ始まりません。

つまり、リハビリ部門の成果は、医師との連携の質に大きく左右されます。

どれだけリハスタッフが頑張っていても、医師に伝わっていなければ、リハビリの価値は院内に広がりません。

そこで、医師を巻き込む仕組みを作りました。

✅ ① 医師を含めた勉強会を月1回実施

リハビリ室で何をしているのか。
どんな評価をして、どんな介入をしているのか。

これを医師にも知ってもらうため、勉強会を行いました。

リハビリの考え方を共有することで、医師との距離が近くなりました

そして、処方や連携の質も少しずつ変わっていきました。

✅ ② 非常勤医師にもデータを共有

非常勤の医師にも、患者数やリハビリ処方数のデータを定期的に共有しました。

経営への意識を少しでも持ってもらい、リハビリ処方率の向上につなげるためです。

医師は臨床のプロです。
ただ、リハビリ室の中で何が起きているかは、伝えなければ見えません

だからこそ、「伝える仕組み」を作ることもリハ職の仕事だと考えていました。


🚪 やったこと④:外に出る

院内だけで考えていると、視野はどうしても狭くなります。

そこで私は、自己投資として県内・県外を問わず勉強会に参加しました。

他の病院やクリニックの人と出会い、他施設の問題や改善策を聞く。
自分の施設だけでは気づけなかった視点を得る。

やがて、自分で勉強会を立ち上げ、運営も経験しました。

この外の人脈は、思わぬ形で返ってきます🎁

人の紹介で、スポーツ現場でのプロスポーツ選手のトレーナー活動に関わる機会もいただきました。

これは、今も続いている活動です。

外に出る価値は、スキルだけではありません。

👀 一番の価値は、視点が増えることです。

自分の施設しか知らない人と、10の施設の事例を知っている人では、同じ問題を見ても出せる答えの数が違います。


🚀 7年目、リハビリ部長へ。12年目、経営管理部長へ

こうした取り組みを続けるうちに、施設は少しずつ変わっていきました。

患者さんが増え、スタッフも増え、採用面接にも関わるようになりました。

そして約7年目、リハビリ部長に昇進しました。

経営者会議にも参加するようになり、会議の司会進行を任されるようになります。

そこでは、データを見せながら、問題点と対策を提案する役割を担いました。

そして約12年目、経営管理部長に。

🌏 経営管理部長になって見えた世界

経営管理部長になると、見える世界はさらに変わりました。

経営データにアクセスできるようになり、支出や収支のデータをもとに、経費削減や増収のための仕組みを考えるようになりました。

簿記3級の知識があったことで、貸借対照表も少しずつ読めるようになりました。

仕事の内容も大きく変わりました。

・人事
・採用給与の見直し
・監査対応
・保健所対応
・業者との交渉
・院内システムの改善
・経費削減
・増収施策の検討

理学療法士の教科書には載っていない仕事ばかりです。

その中でも、特に手応えがあった仕事が、ホームページの刷新でした。

📈 ホームページ刷新で実感した「売上以上の貢献」

昔から使っていたホームページを、新しく作り直しました。

ただデザインを変えただけではありません。

SEO、MEO、Google口コミ対策を意識して設計を見直しました。

その結果、これまで検索でまったく上位に出なかった当院のホームページが、「県名+整形外科」の検索で1ページ目に表示されるようになりました🎉

さらに、当院が得意とする手術名で検索すると、上位に表示されるようになりました。

数字は正直でした。

アンケートで、「ホームページや口コミを見て来ました」と答える患者さんが目に見えて増えました。

得意とする手術の件数も以前より増加し、遠方から手術を受けに来る患者さんも現れました。

このとき、強く実感しました。

💰 リハビリの単位を積み上げるだけでは届かない規模の貢献を、検索順位という仕組みが生む。

これが、売上以上の貢献なのだと思いました。

ちなみに、運用しているブログもこの経験の延長です。

😔 臨床から離れる葛藤もあった

もちろん、良いことばかりではありません。

正直に言えば、臨床に関わる時間が減ったことへの葛藤はありました。

患者さんから直接いただく、「ありがとう」という言葉から距離ができる寂しさは、今もゼロではありません。

それでも、施設全体に貢献できるこのポジションには、臨床とは違うやりがいがあります。

臨床を守るスタッフがいて、経営を支える人間がいる。
その両方があって、施設は回ります。

私は、経営を支える立場から患者さんに貢献する道を選びました。


🔑 私がやったことは、実はシンプルです

ここまで振り返ると、私がやってきたことは決して特別ではありません。

原則は、たった4つです。

💡 ① 患者さんは来るのが当たり前ではない

現状をデータで見る問題点を見つける対策を考える実行する結果を検証する。

この認識が、すべての行動の出発点でした。

患者さんが来るのは当たり前ではない。
治療させてもらえるのも当たり前ではない。

そう考えると、サービス、接遇、清潔感、発信、データ管理の見え方が変わります。

すべてが、「選ばれるために何をするか」という視点になります。

📊 ② 数字を雑に扱わない

現状をデータで見る問題点を見つける対策を考える実行する結果を検証する。

つまり、PDCAを回すということです。

これは特別な才能ではありません。
やるか、やらないかです。

私にとって、「数字を雑に扱わない」という言葉は、行動の精度を上げてくれる大切な考え方でした。

🤝 ③ 経営者とこまめに共有する

ここは、とても重要です。

黙って良い仕事をしているだけでは、経営側には伝わりません。

病院やクリニックの経営者は、多くの場合、医師です。
医師が経営のすべてを得意としているとは限りません。

だからこそ、データを出し、問題点を整理し、具体的な対策まで提案できるスタッフは、経営側から見ると非常に貴重です。

数字と対策を持って、経営者の隣に立つ。

私のキャリアは、これで開けたと思っています。

💰 ④ 売上以上の貢献をする

理学療法士が診療報酬で稼げる売上には、構造的に上限があります。

単位数には限界があり、時間にも限界があります。

売上の上限が決まれば、施設が給料として出せる額にも限界が出ます。

では、給料の相場から一歩抜けるにはどうすればよいのか。

答えは、リハビリで稼ぐ利益以上の貢献をすることだと思っています。

たとえば、

集患を増やす増収の仕組みを作る経費削減につなげる組織を回す採用や教育に貢献する院内の仕組みを改善する

こうした行動です。

「単位で稼ぐ」の外側で施設に価値をもたらせるようになったとき、評価は変わります

給料は「PTの相場」だけではなく、あなた自身の価値で判断される可能性が出てきます。

🌍 この考え方は、医療業界以外でも通用する

ここまで書いて、気づいてほしいことがあります。

この4つの原則に、医療の専門知識はほとんど必要ありません

「患者さん」「お客様」に。
「病院」「会社」に。

そう読み替えてみてください😊

お客様が来るのは当たり前ではない数字を雑に扱わない現状と対策を経営者と共有する自分の職種の売上の枠を超えて貢献する。

これは、どの業界でも通用する考え方です。

逆に言えば、医療業界の中でこれを本気で実行する人がまだ少ないからこそ、やった人の価値が際立つのだと思います。

👣 同じ道を考えるあなたへ。明日からできる一歩

「経営側なんて、自分には遠い」

そう思う人もいるかもしれません。
でも、12年前の私もそうでした。

最初の一歩は、驚くほど小さくて大丈夫です。

✍️ 自部門の数字を、一つだけデータにして、上司に見せてください。

離脱率でもいい。
新患の経路でもいい。
単位数でもいい。
患者満足度でもいい。

誰にも頼まれていないのに、それをやるスタッフは、経営側から見ると確実に目立ちます

採用や評価に関わってきた立場から見ても、これは本当にそうです。

それを続けた先に、会議への同席があり、役職があり、もしかしたら経営側の椅子があるかもしれません。

📚 簿記3級は、リハ職にもおすすめです

あわせて、簿記3級はおすすめです。

難しすぎる資格ではありません。

それでも、「お金の言葉で施設を見る目」が手に入ります。

臨床の言葉と、経営の言葉。

この両方を話せる人材は、医療機関にはまだ多くありません。

だからこそ、リハ職が経営を学ぶ価値は大きいと思っています。

🗺️ まとめ:キャリアの地図は、自分で広げられる

もしあなたが、2年目の私と同じように感じているなら、それは限界のサインではないかもしれません。

それは、視点を変えるタイミングのサインかもしれません。

臨床を極める道もあります。
教育に進む道もあります。
マネジメントに進む道もあります。
経営に関わる道もあります。
外の世界とつながる道もあります。

キャリアの地図は、教科書に載っているものがすべてではありません。

最後に、私のキャリアを変えた考え方をもう一度まとめます。

✅ 患者さんが来ることは当たり前ではない
✅ 数字を雑に扱わない
✅ 経営者とこまめに共有する
✅ 売上以上の貢献をする

この4つを意識するだけで、見える景色は変わります。

この記事が、あなたのキャリアの地図に、新しい道を一本増やすきっかけになれば嬉しいです😊

この記事を書いた人
ミカタ

ミカタ(理学療法士)
元リハビリテーション部長。採用する側として多数の面接を経験し、現在は整形外科クリニックの経営管理部長。年間200本以上の医学論文を読む健康オタク。エビデンスに基づくカラダの話と、採用側の視点で語るリハ職のキャリアの話を発信しています。

ミカタをフォローする
career
シェアする
ミカタをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました