「がんばってるのに、体重がすぐ戻る…」そんなあなたへ
👩🦰「糖質は控えてるのに、思ったほど体重が減らない」
👩「たんぱく質が大事って聞くけど、どれくらい増やせばいいの?」
👨「リバウンドしにくい食事法が知りたい…」
ダイエット経験がある方なら、一度は感じたことがあるお悩みだと思います。
今回ご紹介するのは、「高たんぱく質な食事が本当に体重管理に役立つのか?」をまとめて調べた、
2021年発表のシステマティックレビュー(たくさんの研究をまとめて評価した論文)とメタ解析(結果を統計的に統合する方法)です。Hansen T T 2021
「流行りのダイエット」ではなく、信頼度の高い研究を束ねて見た結果なので、
・リバウンドしにくい体重管理
・健康的にやせたい女性
には特に参考になる内容です。
この研究はどんなことを調べたの?
この論文では、
- 対象:太りぎみ〜肥満の成人
- デザイン:ランダム化比較試験(RCT:公平に2つ以上の食事法を比べる研究)
- 期間:平均32週間(約8〜104週間まで幅あり)
- 食事:たんぱく質の割合を高くしたグループ vs 普通〜低めのたんぱく質グループ
を比べています。Hansen T T 2021
ここでの「高たんぱく食」は、
- たんぱく質エネルギー比(E%:1日の総エネルギーのうち、何%がたんぱく質か)で18〜59%
- 対照(普通〜低めのたんぱく食)はだいたい15〜20%前後
と、かなり幅広い設定です。Hansen T T 2021
また、
- 体重を減らす「減量期」
- 減った体重をキープする「体重維持期」
- 元々の体重を維持できるかを見る「体重維持のみ」
といったパターンも含めて評価しています。
結果①:高たんぱく食は「プラス1.6kg」分の上乗せ効果
メタ解析の結果、高たんぱく食グループは、
通常たんぱく食グループより平均で約1.6kg多く体重が減っていました。(95%信頼区間:1.2〜2.0kg)Hansen T T 2021
✨ポイント
- 「劇的に10kgやせる!」というような魔法ではありません
- ですが、同じようにがんばったときに「もうひと押し」してくれる程度のプラス効果がある、というイメージです
- 減量だけでなく、体重をキープする場面でも、高たんぱく食は有利な傾向がありましたHansen T T 2021
特に比べられていたのは、
- 高たんぱく質 vs 高炭水化物(たんぱく質を減らして炭水化物を増やした食事)
- 一部で、食物せんい・脂質との比較 など
で、炭水化物を減らしてたんぱく質を増やすパターンが多いのが特徴です。Hansen T T 2021
なぜ高たんぱく食が体重管理に効きやすいの?
論文では、過去の研究をもとに、たんぱく質が体重管理に有利になりやすい理由も紹介しています。Hansen T T 2021
1️⃣ 満腹感が長持ちしやすい
- たんぱく質は、炭水化物や脂質より「満腹感」を感じやすい栄養素と考えられています
- 小腸などの消化管に届くと、食欲を抑えるホルモンが出やすくなり、
「もうそこまで食べなくていいかな」というサインが出やすくなるとされていますHansen T T 2021
2️⃣ 消化・代謝にエネルギーを使う
- たんぱく質を分解して利用するには、からだの中で多くのエネルギー(熱)が必要です
- これを食事誘発性熱産生と呼び、
同じカロリーでも、たんぱく質が多い食事ほどわずかに消費エネルギーが増えるとされていますHansen T T 2021
もちろん個人差はありますが、
「お腹が空きにくい+少しだけ消費も増える」
この2つが積み重なることで、長期的な体重管理にプラスになっている可能性があります。
結果②:特に効果が出やすい人は?
この論文がおもしろいのは、「どんな人に高たんぱく食が効きやすいか」も一部で検討しているところです。Hansen T T 2021
✅ プレ糖尿病(とうにょうびょう予備軍)の人
- 空腹時血糖やインスリン抵抗性などを指標に、
「血糖コントロールが少し悪くなりかけている人(プレ糖尿病)」を分けて解析した研究では、 - プレ糖尿病の人の方が、高たんぱく食での体重減少が大きい傾向がありましたHansen T T 2021
👉 つまり、
「健康診断で血糖がちょっと高めと言われた」「将来の糖尿病が心配」
という方には、炭水化物を少し控えつつ、たんぱく質を増やす食事が、
体重管理にもプラスになる可能性があります(※自己判断は禁物で、医師と相談が必要です)。
✅ ある遺伝子タイプを持たない人
- 体重増加リスクに関わるTFAP2Bという遺伝子の一部(SNP:一塩基多型)に注目した研究では、
「肥満リスクのあるタイプ(Gアレル)を持たない人(AA型)」の方が、
高たんぱく食で体重をキープしやすい傾向が報告されています。Hansen T T 2021
もちろん、遺伝子検査をしてから食事を決めましょう、という話ではありません。
ただ、「人によって効き方が違う」という視点は、これからのダイエットを考えるうえでとても大切です。
実生活ではどう取り入れればいい?
この論文は、具体的な「日本人向けの量」までは示していませんが、
「たんぱく質エネルギー比18〜59%」というかなり広い範囲の高たんぱく食で効果が見られています。Hansen T T 2021
イメージとしては、
- ご飯やパンを大盛りから普通盛りにする
- そのぶん、
- 魚
- 肉(赤身や脂身の少ない部位)
- 卵
- 大豆製品(とうふ、納豆、豆乳など)
を毎食1〜2品はきちんと入れる
といった、「炭水化物を少し減らして、たんぱく質をしっかり」というバランスを意識すると、
この研究の方向性に近づきます。
👀 ワンポイント
- 一気にストイックに変えるより、続けられる範囲で少しずつ
- 間食(おやつ)を、
- 甘いもの中心 → ヨーグルト、チーズ、ゆで卵、豆製品など
に置き換えるのも◎
- 甘いもの中心 → ヨーグルト、チーズ、ゆで卵、豆製品など
※腎臓病など、たんぱく質制限が必要な病気がある方は、
自己判断でたんぱく質を増やさず、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。
注意点:高たんぱく=「これだけで完璧」ではない
論文の著者たちも、いくつかの限界点を正直に挙げています。Hansen T T 2021
- 多くの研究は食事内容の自己申告に頼っており、実際の摂取量にズレがある可能性
- 参加者も研究者も、どの食事が高たんぱくかを知っている(ブラインドしづらい)ため、
行動が少し変わってしまうリスク - 体重だけでなく、体脂肪や筋肉量まで詳細に評価した研究はまだ少ない
そのため、
👉 「高たんぱく食にすれば必ずやせる」「誰にでも同じ効果」
というわけではありません。
このブログを読むときの大事なお願い(エビデンスの扱い方)
このブログで紹介している内容は、
- できるだけ信頼度の高いシステマティックレビューとメタ解析をもとにしていますが、
- それでも、「数ある研究のうちの1つのまとめ」にすぎません。
栄養やダイエットの研究は日々アップデートされており、
別の研究では違う結果になることも十分あります。
ですので、
- ここでの結果を「絶対的な正解」として鵜呑みにしないこと
- ご自身の体質・持病・ライフスタイルに合わせて、
主治医や管理栄養士と相談しながら活用すること
を強くおすすめします。
まとめ:たんぱく質を味方に、無理なく続く体重管理を
- 高たんぱく質な食事は、平均で1.6kg程度の追加的な体重減少に結びついていました
- 効果は「ほどよい上乗せ」レベルですが、長期戦のダイエットでは十分意味のある差です
- 特に、プレ糖尿病の人など、一部の体質の方ではメリットが大きい可能性があります
- ただし、万能ではなく、人によって効き方はさまざま
- まずは、
- 炭水化物を「ちょい控えめ」に
- たんぱく質源を「毎食きちんと」
という、続けやすい一歩から始めてみてください。
今日の一歩が、未来の元気をつくります。みんなで健康寿命を延ばしていきましょう!!
論文情報(引用)
Hansen T.T., Astrup A., Sjödin A.
Are Dietary Proteins the Key to Successful Body Weight Management? A Systematic Review and Meta-Analysis of Studies Assessing Body Weight Outcomes after Interventions with Increased Dietary Protein.
Nutrients. 2021;13(9):3193.
DOI: 10.3390/nu13093193
Published: 14 September 2021 Hansen T T 2021


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