👩🦰「糖質を減らすといいって聞くけど、脂質も控えなきゃダメなんでしょ?
どっちを減らしたらいいのか分からない…😢」
👨🦱「健診でコレステロールが高めと言われたけど、
ダイエットで本当に数値は変わるの?」
40〜50代になると、体重も血液検査の数字も、なんとなく気になってきますよね。
しかもネットでは
- 低糖質(ローカーボ)推し💪
- いやいや低脂質(ローファット)こそ正義!
と情報がバラバラ…。
今日は、低糖質ダイエットと低脂質ダイエットを直接比べた「メタ解析」をご紹介します。
「どっちが体重に効きやすいか」「コレステロールはどう動くか」を、医学論文レベルのデータで、できるだけやさしく解説しますね😊 Chawla S 2020
今回の論文はどんな研究?
紹介するのは、2020年に医学雑誌 Nutrients に掲載された、
38本のランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial=質の高い比較研究)をまとめたメタ解析です。
- 対象:合計 6,499人の成人
- 期間:1〜24か月
- 比較したのは
- 低糖質(ローカーボ)ダイエット
- 炭水化物を総エネルギーの40%未満
- 低脂質(ローファット)ダイエット
- 脂質を総エネルギーの30%未満
- 低糖質(ローカーボ)ダイエット
主にチェックしたのは👇
- 体重の変化
- LDLコレステロール
- Low-Density Lipoprotein:悪玉コレステロール
- HDLコレステロール
- High-Density Lipoprotein:善玉コレステロール
- 総コレステロール
- 中性脂肪(TG:トリグリセライド)
結論ざっくり:低糖質は「体重・中性脂肪・HDL」に強いが、LDLには注意
まず、全体のざっくり結論です。
- 体重:低糖質のほうが少しよく減る
- HDL(善玉):低糖質のほうが増えやすい
- 中性脂肪:低糖質のほうが下がりやすい
- LDL・総コレステロール:低脂質のほうが有利(=低糖質だと上がりやすい)
つまり、
「体重と中性脂肪を重視」なら低糖質寄り、
「悪玉コレステロール・総コレステロールを重視」なら低脂質寄り
…というトレードオフ(どちらも一長一短)の関係になっていました。
どれくらい体重は変わった?
6〜12か月で「約1kg」だけど、それでも差はある
論文では、6〜12か月続けた時点で、
- 低糖質ダイエットのほうが
👉 平均 約1.3kg 多く体重が減っていた
という結果でした。
数字だけ見ると「1kgちょっと?」と思うかもしれませんが、
- 同じカロリーくらいを食べている条件で
- 食事の「質(糖質か脂質か)」を変えただけ
でこれだけ差が出ている、というのはポイントです。
1年を超えると差はほぼ消える
一方で、
- 1年以上たつと、体重の差はほとんどなくなる
という結果でした。
理由としては、
- 実際の生活ではだんだん食事制限に慣れてきて、守れなくなる(アドヒアランス低下)
- 体が省エネモード(代謝の適応)になっていく
などが考えられています。
👉 まとめると
「半年〜1年くらいまでは、低糖質の方が少し有利だけど、
長い目で見ると“どれだけ続けられるか”のほうが大事」
というイメージです。
コレステロールはどう変わった?
HDL(善玉コレステロール)は低糖質に軍配
- 1〜12か月のどの時点でも
👉 低糖質ダイエットのほうがHDLがしっかり上がっていた
HDLは動脈硬化を防ぐ方向に働くコレステロールなので、
ここは低糖質のメリットといえます。
中性脂肪(TG)も低糖質でよく下がる
- 中性脂肪(TG:トリグリセライド)は
👉 低糖質ダイエットでより大きく低下
糖質を減らすと、インスリン(血糖を下げるホルモン)が出にくくなり、
中性脂肪をためこみにくくなると考えられています。
LDL・総コレステロールは「低脂質」のほうがやや有利
- LDL(悪玉コレステロール)
- 総コレステロール
については、
低脂質ダイエットのほうが数値が低くなりやすい
という結果でした。
低糖質ダイエットでは、脂質の割合が増えるぶん、飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)の摂取が増えがちで、
これがLDLを上げる方向に働くとされています。
LDLは、心筋梗塞や脳梗塞のリスクと強く結びついているので、もともとLDLが高い方や、家族歴がある方は要注意です。
結局、どんな人にどの食事が向いていそう?
あくまで「傾向」としてですが、論文の結果から考えると…
低糖質(ローカーボ)が候補になりやすい人
- 「まずは体重を落としたい」という方(特に半年〜1年くらいまで)
- 中性脂肪が高めの方
- ごはん・パン・甘い飲み物が多くて、糖質過多になりがちな方
ただし、
- LDLコレステロールがもともと高い
- 心筋梗塞・脳梗塞の家族歴がある
といった場合は、主治医とよく相談することが大事です。
低脂質(ローファット)が候補になりやすい人
- LDLコレステロールや総コレステロールが高めで指摘されている方
- 油っこいもの・スイーツ・揚げ物が多いと自覚のある方
- 「ご飯やパンはある程度食べたいけど、脂質は減らしてもOK」という方
このメタ解析の限界と注意点
この記事で紹介したメタ解析にも、いくつか限界があります。
- 1年以上追えた研究はごく少数
- 多くの研究で、食事内容は自己申告(正確さに限界)
- 食事だけでなく、運動の指導が入っている研究もある
- 超加工食品か、自然に近い食品かといった「食事の質」までは十分に評価されていない
さらに重要なのは、
どの研究も「心筋梗塞・脳梗塞・死亡」などの“本当のゴール(臨床アウトカム)”までは見ていない
という点です。
あくまで、体重や血液検査(LDL・HDL・中性脂肪)といった中間指標を見ているにすぎません。
必ず読んでほしい「注意点」
- ここで紹介した結果は、信頼性の高い論文を集めたメタ解析に基づいていますが、
それでも「数ある研究の一例」にすぎません。 - 「低糖質にすれば絶対に痩せる」「低脂質なら心臓病にならない」といった、
保証や断定はできません。 - 持病(糖尿病、腎臓病、脂質異常症など)がある方や、
お薬を飲んでいる方は、必ず主治医や管理栄養士さんと相談したうえで食事を調整してください。 - この記事は一般的な健康情報の解説であり、
診断や治療方針を決めるための医療行為ではありません。
まとめ:数字だけでなく「続けやすさ」も大切に
最後に、今回の論文からの実践的なポイントを整理します。
- 体重・中性脂肪・HDLを重視するなら、やや低糖質寄り
- LDL・総コレステロールを重視するなら、やや低脂質寄り
- 1年以上になると、どちらも「続け方」しだいで差が小さくなる
- どちらのダイエットでも、
- 野菜
- 魚や豆類などのたんぱく質
- 精製されていない穀物(玄米など)
を意識して、「質のよい食事」を選ぶことが大切
「自分の検査値」と「続けやすさ」を軸に、
低糖質と低脂質のバランスを自分仕様にカスタマイズしていく
そんなスタンスが、長い目で見て健康寿命を伸ばす近道だと思います😊
論文情報(引用)
- 著者:Shreya Chawla, Fernanda Tessarolo Silva, Sofia Amaral Medeiros, Rania A. Mekary, Dina Radenkovic
- 論文タイトル:
The Effect of Low-Fat and Low-Carbohydrate Diets on Weight Loss and Lipid Levels: A Systematic Review and Meta-Analysis - 掲載誌:Nutrients
- 受理日:2020年12月3日
- 公開日:2020年12月9日
- DOI:10.3390/nu12123774
今日の一歩が、未来の元気をつくります。
みんなで健康寿命を延ばしていきましょう!!

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