👩🦱「ウォーキングだけでいい? それとも筋トレ? 時間がない私でも効率よく体力を上げたい…」
そんな“モヤッ”とした悩みに、科学的エビデンスでスッキリ答えます。今回は、肥満・過体重の大人を対象に、どの運動タイプが体力(フィットネス)を一番伸ばすかを比較した体系的レビュー(たくさんの研究をまとめた研究)をご紹介。van Baak M A 2021
要点だけ先読み✨
- すべての運動(有酸素・筋トレ・有酸素+筋トレ・HIIT)は、VO₂max(最大酸素摂取量)を上げる=心肺体力アップに有効。+約3.8~4.6 ml/kg/分の改善が見込めます。van Baak M A 2021
- HIIT(高強度インターバル)は、通常の有酸素運動より少しだけ有利にVO₂maxを伸ばす傾向。短時間でも効率◎。van Baak M A 2021
- 筋力を上げたいなら、必ずプログラムにレジスタンス(筋トレ)を入れて。有酸素だけでは筋力アップは弱い。van Baak M A 2021
- 総合点を狙うなら:(HIIT または 有酸素)+ 筋トレの“二刀流”が現実的で時短。
どんな研究?🔍
無作為化比較試験(RCT)だけを集めた体系的レビュー&メタ解析。
66試験・約3,954人(女性の割合中央値82%、年齢中央値46歳、介入期間中央値12週間)。ダイエット併用なしで運動単独の効果を検証しているのがポイントです。van Baak M A 2021
対象の運動タイプ:
- 有酸素(ウォーキング/ジョギング/サイクリング など)
- レジスタンス(筋トレ)
- 有酸素+筋トレ(コンバインド)
- HIIT(高強度インターバル:短時間の全力運動と休憩をくり返す)
何がどれくらい効く?📈(数字でサクッと)
心肺体力(VO₂max)の改善
- 有酸素:+約4.08 ml/kg/分(中等度~大きめの効果)
- 筋トレ:+約4.52 ml/kg/分(ただし有酸素よりは劣るという直接比較も)
- 有酸素+筋トレ:+約4.57 ml/kg/分(有酸素単独と同等)
- HIIT:+約4.31 ml/kg/分、有酸素よりわずかに上(差は小さいが有意)
※値はいずれもメタ解析から。**短すぎる介入(2–4週)や長すぎる介入(半年超)**では、効果が小さくなりやすい傾向も示唆。van Baak M A 2021
筋力
- 有酸素:筋力アップは明確でない
- 筋トレ:はっきり向上(効果量SMD≒0.74)
- 有酸素+筋トレ:向上(SMD≒0.62)
- HIITの筋力データ:不足(筋力目的ならHIITだけでは不十分)
さらに、柔軟性・バランス・歩行速度などの機能面も、筋トレ or 有酸素+筋トレで改善。van Baak M A 2021
結論を生活に落とすならこうする🗓️
目的が “体力(心肺) + 見た目と動ける体(筋力)” なら、二刀流が最短。
週の型(女性向け・忙しい人用)
- A:HIIT(またはやや強めの有酸素)× 2日
- 例:バイク or 早歩き坂道 20–25分。
- HIITなら:30秒 きつめ→60–90秒 ゆるめを6–10本(合計20分前後)。
- 体感強度(RPE):8–9/10の“息が上がるけど耐えられる”を狙う。
- B:筋トレ × 2日(全身)
- スクワット/ヒップヒンジ/プッシュ(壁押し・膝つき腕立て)/ロウ(チューブ引き)/体幹
- 各8–12回×2–3セット、最後の2回がややきつい重さで。
- 自宅ならゴムバンドや水ボトルで十分スタート可。
- C:ゆる有酸素 × 1日(回復日)
- 会話できるペースの30分ウォーキング。
- D:自由日 × 2日
- 階段を選ぶ・自転車通勤など**“生活HIIT”**でOK。
ポイント
- 最初の2–3週は“フォーム優先”。息が上がりすぎたらインターバル(休憩)を長めに。
- 12週の中間(6週)で負荷を微増:回数+2回、HIIT本数+2本 など。
- 月経周期に合わせて強度を調整(しんどい時期はCの回復を増やす)。
目的別の“ちょいアレンジ”🎯
- とにかく時短:A(HIIT)を15–20分に短縮し、B(筋トレ)メインへ。
- 膝が不安:ヒールレイズ、チェアスクワット、チューブロウなど関節にやさしい種目を中心に。
- 運動が初めて:最初は有酸素(会話ペース)+軽い筋トレから。4週目以降にHIITへ移行。
- 50–60代女性:バランス系(片脚スタンド、サイドレッグレイズ)をB日に追加。
よくある疑問にQ&A💡
Q1. HIITはきつすぎて続かない…
A. “脚だけHIIT(バイク)”やプール歩行もOK。強度は自分比で上げ下げすれば効果は残ります。van Baak M A 2021
Q2. ウォーキングだけじゃダメ?
A. 心肺は上がるけれど、筋力は頭打ち。週2回の軽い筋トレ追加が“コスパ最強”。van Baak M A 2021
Q3. 体重は落ちる?
A. 今回は“運動単独”の研究。体重より“体力”の改善を評価。体重は食事調整とセットで考えるのが現実的。van Baak M A 2021
略語の超かんたん解説 📚
- VO₂max(最大酸素摂取量)=心肺体力の代表指標。
- HIIT(高強度インターバル)=短時間のきつめ運動+休憩のくり返し。
- MICT(中強度持久運動)=普通ペースの連続有酸素。
- RCT(無作為化比較試験)=信頼性の高い研究デザイン。
- SMD(標準化効果量)=研究ごとの測り方の違いをならして比較するための指標。
まとめ:今日からの“最短ルート”🚦
- 週4日を目安に、(HIIT or やや強め有酸素)×2+筋トレ×2。
- 12週間で、心肺(VO₂max)も筋力も底上げ。体力が付けば日常活動の消費も自ずと増える。van Baak M A 2021
- やさしい開始→少しずつ強く。継続が最大のチートです。
注意点⚠️
本記事は信頼度の高い論文をもとにまとめていますが、多数ある研究の一例です。すべての人に同じ効果を保証するものではありません。既往歴や服薬がある方は、開始前に医療者へ相談し、痛みが出る動きは回避・強度は段階的に上げましょう。睡眠・食事・ストレス管理も“体力アップ”の土台です。van Baak M A 2021
参考文献(出典)
- van Baak MA, Pramono A, Battista F, et al. Effect of different types of regular exercise on physical fitness in adults with overweight or obesity: Systematic review and meta-analyses. Obesity Reviews. 2021;22(S4):e13239. DOI: 10.1111/obr.13239(受理:2021年2月26日)van Baak M A 2021
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