「頑張って歩いているのに、なかなかお腹だけ落ちない…」そんなあなたへ
👩🦱「ウォーキングは続けているけど、体重もウエストも大きく変わらない」
👩💼「筋トレもやった方がいいって聞くけど、どれくらいの強さで、週何回やればいいの?」
👨「きつすぎる運動は続かないし、ゆるすぎても意味なさそう…」
そんな“ちょうどいい運動処方(しょほう)”を知りたい大人の方向けに、
今回のブログでは「肥満がある人にとって、一番効率のよい運動メニューはどれか?」を調べたネットワークメタ分析(いくつもの研究をまとめて比較する方法)をご紹介します。O’Donoghue G 2021
この記事でわかること👇
- 肥満に対して どんな運動タイプが一番効きやすいか
- 有酸素運動だけよりも、筋トレを組み合わせた方が良い理由
- 忙しい40〜50代女性でも取り入れやすい、現実的な運動メニュー例
この研究はどんな内容?
この論文は、
「肥満のある18〜65歳の大人」を対象にしたランダム化比較試験(RCT)だけを集めて
- 体重・BMI(ボディマスインデックス:体格指数)
- お腹まわり(ウエスト周囲径)
- 体脂肪率
- 筋肉量(除脂肪量)
- 心肺フィットネス
※CRF:Cardiorespiratory Fitness(心肺持久力・体力)
などへの影響を比較しています。
研究のざっくりポイント
- 対象研究:45本のRCT
- 参加者:3566人(約76%が女性)
- 期間:平均約20週間(3か月〜1年程度)
- 週あたりの運動頻度:週3回前後、1回40〜60分が中心
つまり、「現実的に続けられる範囲の運動」を比較しているイメージです。
比較された運動メニューの種類
論文では、運動を「頻度(Frequency)・強度(Intensity)・時間(Time)・種類(Type)」というF.I.T.T原則で整理し、次の7タイプに分類しています。
1. AE-V:高強度 有酸素運動
- 例:息が少し荒くなる 早歩き〜軽いジョギング、バイク、エアロバイク など
- 強度:最大酸素摂取量(VO2max)の65%以上、または最大心拍数の75%以上
- 週3〜5回、1回30〜60分
2. AE-M:中強度 有酸素運動
- 例:やや息が上がる程度の速歩き、軽めの自転車 など
- 強度:VO2maxの45〜65%程度
- 週3〜5回、1回30〜60分
3. R-HI:高負荷(こうふか)レジスタンストレーニング(筋トレ)
- 例:マシンやフリーウエイト、自重スクワットなどを重めの負荷で行う
- 強度:1回しか上げられない重さ(1RM)の75%以上
- 週3回、1回30〜60分
4. R-LM:低〜中負荷レジスタンス(筋トレ)
- 1RMの50〜75%程度のやや軽めの重さで回数多めの筋トレ
- 週3回、1回30〜60分
5. COM-HI:高強度 有酸素+高負荷筋トレ【コンビネーション高強度】
- AE-V(高強度有酸素)+R-HI(高負荷筋トレ)の組み合わせ
6. COM-LM:中強度 有酸素+低〜中負荷筋トレ【コンビネーション中強度】
- AE-M+R-LMの組み合わせ
7. Control:運動なし(普段どおりの生活)
結論① 体重は「どの運動も少しは効く」でも劇的には減らない
まず大前提として…
どの運動タイプも「何もしない」よりは体重を減らす効果がありました。
ただし、体重の減少幅は「控えめ」という結果です。
運動だけで、ドラマチックに何kgも落ちるわけではありません。
- 運動=体重をごっそり落とす魔法ではなく
- 運動=体の中身(体組成)と体力を“いい方向”に整えるもの
と考えるとイメージしやすいです。
特に女性はホルモンバランスやライフステージ(妊娠・更年期など)の影響も大きく、体重の数字だけにこだわるとしんどくなりがちです。
この論文でも、「体重」よりも「お腹の脂肪」や「筋肉量」「心肺フィットネス」の改善がポイントになっています。
結論② お腹まわり・筋肉量・体力には「有酸素+高負荷筋トレ」が最強候補
このネットワークメタ解析で一番評価が高かったのが、
COM-HI(高強度有酸素+高負荷筋トレ)
です。
お腹の脂肪(腹囲・内臓脂肪)への効果
- COM-HIは、他のどの運動タイプよりも
ウエストまわり(腹囲)を減らす効果が高いとランキングされました。 - 見た目が気になるぽっこりお腹対策には、
「きつめの有酸素+しっかり目の筋トレ」というセットが有望です。
筋肉量(除脂肪量)の維持・アップ
- 高負荷筋トレ(R-HI)と、それを含むCOM-HIは
筋肉量を増やす/維持する効果が高め。 - ダイエットでよくある
「体重は減ったけど、筋肉も落ちてフラフラ…」を防ぐ意味でも重要です。
特に40〜50代女性では、加齢による筋力低下(サルコペニア)予防の意味でも、ある程度の負荷をかけた筋トレが大切になってきます。
心肺フィットネス(CRF)の改善
- CRF(Cardiorespiratory Fitness:心肺持久力)は、
将来の心臓病・脳卒中などのリスクと関係する、とても重要な指標です。 - COM-HIは、このCRFを改善する効果でもトップクラスでした。
つまりこの研究から言えるのは、
「肥満がある大人には、有酸素運動だけでなく、しっかりした筋トレを組み合わせた“ハイブリッド型”がもっとも効率的」
ということです。
結論③ 血圧・血糖・脂質は「少しずつ良くなる」イメージ
血圧、血糖(:空腹時血糖)、中性脂肪(トリグリセリド:TG)、善玉コレステロール(HDL)なども評価されています。
- どの運動タイプでも「何もしないよりは良い方向」に動く
- ただし、体重やウエストほど「はっきりした差」は出にくい
という結果で、運動は生活習慣病対策の土台にはなるが、
薬や食事療法を置きかえるものではないと考えるのが現実的です。
実践編:現実的な「最適運動処方」をどう組む?
いきなり論文そのままの高強度メニューを真似するのはおすすめしません。
ここでは、40〜60代を少し意識した、現実的なアレンジ例を書きます。
① まずは有酸素運動:週3回を目標に
目安:週3回、1回30〜40分
- 内容:やや息が弾む速歩き(早歩き)、坂道ウォーキング、エアロバイクなど
- 強度の目安:
- 会話はできるけど、ちょっと息が上がる
- 主観的運動強度(RPE:12〜14/20くらい)
忙しい日は👇
- 「10分×3回」に分けてもOK
朝の通勤+昼休み+帰り道を少しだけ早歩きに変えるイメージです。
② 筋トレ:週2〜3回、大きな筋肉をねらう
目安:週2〜3回、1回20〜30分
- スクワット、ヒップリフト、腕立て(壁を使ってもOK)、ローイング系など
- 「10回やると結構きつい」と感じる重さ・回数を目標に
→ これが論文でいう “高負荷(R-HI)に近いイメージ” です。
自宅なら👇
- 椅子スクワット(いすから立ち座り)
- ペットボトルダンベル
- ゴムバンド(セラバンド) なども活用可能です。
③ COM-HIに近づける「週の組み立て」例
【例:1週間のスケジュール】
- 月:有酸素(早歩き30分)
- 水:筋トレ20〜30分
- 金:有酸素(早歩き+坂道40分)
- 土:有酸素20分+筋トレ20分(コンビの日)
少しずつ慣れてきたら、
- 有酸素の一部を「坂道」や「少し早いペース」にする
- 筋トレで扱う重さや回数を増やす
ことで、COM-HIに近い“効きやすいゾーン”にじわじわ近づいていけます。
初心者さん・体力に不安がある方への注意点
医師のチェックが必要になりやすいケース
- 心臓病や脳卒中の既往がある
- コントロールされていない高血圧や糖尿病
- 胸の痛み・強い動悸・息切れが出やすい
こういった場合は、必ず主治医と相談してから運動強度を決めてください。
論文では、糖尿病や薬物治療中の人などは除外されているため、
「自分に100%そのまま当てはまる」とは限らない点も重要です。O’Donoghue G 2021
この研究結果の「良い使い方」と「危ない使い方」
良い使い方 ✅
- 「有酸素+筋トレを組み合わせた方が、お腹・筋肉・体力には効きやすい」という方向性のヒントとして使う
- 「体重の数字だけではなく、ウエスト・体力・筋肉量も見る」という視点を持つ
- ダイエットで「食事だけ」にならないよう、運動の質も見直すきっかけにする
危ない使い方 ❌
- 「このメニューなら絶対に〇kgやせる」と過度な期待をする
- 自分の体力や持病を無視して、いきなり高強度トレーニングをまねる
- 他の研究や自分の状況を考えず、この論文だけを“絶対視”する
注意点(必ずお読みください)
- ここで紹介した内容は、信頼度の高い論文(ランダム化比較試験をまとめたネットワークメタ解析)をもとにしていますが、
それでもあくまで数ある研究の「一例」です。O’Donoghue G 2021 - 参加者の多くは「薬で治療中の重い病気がない18〜65歳の肥満のある成人」であり、
持病・年齢・体力によって適切な運動量は変わります。 - このブログは医療行為の代わりではなく、一般的な健康情報の提供を目的としています。
具体的な運動内容について不安がある方は、医師や理学療法士などの専門職にご相談ください。
まとめ:今日から変えられる「一歩」
- どの運動も「やらないよりは良い」
- その中でも、
「有酸素+高負荷筋トレ(COM-HI)」が、お腹まわり・筋肉量・心肺フィットネスにもっとも有利 - いきなりハードにするのではなく、
中強度のウォーキング+少しきつい筋トレから徐々にレベルアップするのが現実的 - 体重だけでなく、ウエスト・体力・日常生活の動きやすさも変化の指標にしていきましょう。
参考論文情報
O’Donoghue G, Blake C, Cunningham C, Lennon O, Perrotta C.
What exercise prescription is optimal to improve body composition and cardiorespiratory fitness in adults living with obesity? A network meta-analysis.
Obesity Reviews. 2021;22:e13137.
DOI: 10.1111/obr.13137
(受理:2020年8月8日、公表:2021年)O’Donoghue G 2021
今日の一歩が、未来の元気をつくります。みんなで健康寿命を延ばしていきましょう!!


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